男性が着物を選ぶ際、色鮮やかな女性の着物に比べて地味な色であるため、それほど色を気にしていないかもしれません。
しかし、実は男性着物でも色が与える印象はかなり大きくなります。
どのような相手と会うのか、お稽古事に着るのか、などシチュエーションによっても変わると思います。
このページではそんな男性着物の「色」について、詳しく書いています。
黒
男性着物、女性着物、ともに黒は特別なカラーです。
着物の色としては黒は第一礼装に使用されます。男性着物であれば、「黒紋付き羽織袴」になります。
格式あるシーンに適していて、結婚式の主賓などフォーマルな場面で着用します。
「黒紋付き羽織袴」の着用時にはルールがあり、足袋と羽織紐は必ず白を使用することです。
(「色紋付き羽織袴」は準礼装となり、フォーマルな場での招待客の際に使用します)
地黒そのままだと礼服の雰囲気になるため、普段着で黒を用いたい場合は模様が入ったものや格を下げた紬などがよいでしょう。
半衿などをワンポイントカラー(差し色)とするとオシャレになるのは黒系の魅力です。
- 基本は格式高い礼装色
- 普段着なら紬などカジュアルな着物にする
- 差し色でオシャレ着物に
グレー
鼠色はそのままでは地味で若い人には向かない色ですが、実は様々なバリエーションがある、扱いが面白い色です。
しかし鼠色でも光沢があったり、青系寄り、明るいグレー系であればむしろ若々しい印象を与えることができます。
明るいグレーであれば帯や羽織を暗めの紺系や茶系でまとめると引き締った色のバランスになります。
暗めのグレーなら、着物も羽織も同じ色で揃え、帯や小物でワンポイントカラーを作ってオシャレ感を出すこともできます。
黒よりも生地の質感を感じられる色であるため、上質の生地をアピールできるメリットもあります。
「オシャレさもフォーマルさも出したい」
という場合にグレー系は活用できるでしょう。
- グレーといっても様々な色がある
- 帯・羽織の色合わせがしやすい
- カジュアルもフォーマルさも出せる
ネイビー
人気のある定番カラーです。着物の初心者でもコーディネートがしやすく、若々しさもアピールできます。
「どんな色を着ればいいのかわからない」
という人はネイビーから初めてみるのもおすすめです。
ラフな感じで着ることができるため、気軽に街でショッピングに行くこともできます。
全体を紺系でクールにまとめるのも良し、黒系・茶系の羽織など別の色と合わせるのも良しという、使いやすい色になります。
落ち着いた紺の着物と羽織を合わせると、お稽古事にも適しています。
濃紺はかなり暗い色のため、帯を白系など明るめの色にすると引き締まって見えます。
グレーとの中間色の紺もあります。この場合は濃紺の羽織などを合わせると、同系色で強弱をつけたコーディネートになります。
- カジュアルの定番で初心者におすすめ
- 黒や白と相性がいい
- 同系色でまとめるとクール
茶
茶色は若々しさは出にくい反面、古風や伝統というイメージを与えます。
日本らしさを出せる茶系で羽織・帯・足袋まで全体をまとめるコーディネートもいいと思います。
濃いめの茶色なら羽織や帯は明るめの茶色、逆に着物が明るめの茶色なら濃いめの羽織や帯がおすすめです。
帯だけをグレー系で合わせると、年配の方にフィットする色バランスになります。
若い人の場合はこの茶系でアレンジができれば、着こなし感がアピールできるでしょう。
茶系でも薄い色なら生地の質感や模様をアピールすることができますし、帯で色が入った柄ものを合わせるとファッショナブルなイメージを出すことができます。
合わせる色はグレー系やベージュ、緑系などがよいでしょう。
落ち着いた和風カフェなどにコーディネートした茶系の着物はフィットします。
「オシャレな着物を着こなしたい」
という人におすすめです。
- 風流を感じる色合い
- 色合い次第でオシャレ着物になる
- グレー、ベージュ、緑色と相性がいい
緑
緑色にも原色に近い鮮やかな色から茶色寄りの落ち着いた緑色もあります。
初心者のコーディネートとしては難しい色になりますが、茶系の緑色なら組み合わせがしやすくなります。
茶系の緑色の着物には黒系の引き締まった色が合います。羽織や帯などを黒系にするのはおすすめです。
また明るい色との相性もいいです。例えばストライプの明るいグレーの帯など、模様を入れることでオシャレ感が出せます。
落ち着いた緑系であれば品の良さと若々しい印象を同時に与えることができます。
着ている人が少ない色なので難しさはありますが、個性をアピールできる色とも言えそうです。
- 落ち着いた緑は上品な雰囲気に
- 着用する人が少ないので個性を出せる
- 黒や茶色と相性がいい
まとめ
男性着物は女性着物のように豪華な柄や刺繍が入ることはないので、個性を出すには配色が重要になります。
むしろ女性よりもコーディネートのやりがいがあるかもしれません。
羽織と帯だけでなく、半衿、足袋、小物まで全体の色を上手く選択しましょう。
こう考えると種類は多いですが、実際にはメインの1色に対して2色目を決めると全体のイメージが出来上がります。
色数は基本は2色だけで十分まとまってくれます。離れた色でなければ3色目を入れてもよいでしょう。
あとは帯だけをワンポイントで色を変えるのか、帯と羽織を別の色にするのか、全て同系色で揃えるのか、好みで選べばよいと思います。
自分の好きな色、着てみたい色を想像しながら、コーディネートを楽しんでくださいね。