グリーティング切手JAPAN「神奈川沖浪裏」500

2016年1月29日、日本郵便は日本の伝統や文化を海外へ広めるため、「切手帳 グリーティング JAPAN」を発売しました。

とても豪華な金箔加工の切手帳となっています。どのような中身なのか、ご紹介しましょう。

葛飾北斎と図案の作品についても詳しく解説しています。

冨嶽三十六景の切手帳

この「切手帳 グリーティング JAPAN」は日本の素晴らしい伝統や文化を発信することをテーマとしてます。

そこで選ばれたのが、葛飾北斎の富嶽三十六景です。日本の浮世絵の傑作として海外では非常に高く評価されているのです。

その中で「神奈川沖浪裏」と「凱風快晴」がこの切手帳の図案として採用されました。どちらも誰もが知っているほどの有名な絵ですよね。

単に原画をデザインしているのではなく、マルコ・ポーロが日本を「黄金の国」と呼んだことから原画を金箔加工しているのが特徴です。

切手帳の中身

切手シート

メインである切手シート「神奈川沖浪裏」と「凱風快晴」になります。

グリーティング切手JAPAN「神奈川沖浪裏」

「神奈川沖浪裏」は大波が白く砕ける部分を切り取って切手とし、金箔加工が施されています。

もう1枚は「神奈川沖浪裏」全体が金箔加工された1枚となります。切手の額面は1000円になります。

グリーティング切手JAPAN「凱風快晴」

「凱風快晴」は「赤富士」とも呼ばれる富士山の絵で、頂上部分が切り取られて金箔の切手となっています。

もう1枚は「凱風快晴」全体が金箔加工されています。切手の額面は1000円になります。

切手帳の表裏

グリーティング切手JAPAN3

切手帳の表は「神奈川沖浪裏」と「凱風快晴」の原画、そして裏は純金箔証明書となっています。

見開き

グリーティング切手JAPAN見開き

切手シートを含む見開きではそれぞれの作品の解説が、日本語と英語で書かれています。

特製ケース

グリーティング切手JAPAN紙製ケース

贈答用の紙製ケースもついていて、桜の花びらをイメージしたケースとなっています。

この「切手帳 グリーティング JAPAN」の発売日は2016年1月29日、販売価格は8,000円(税込)となります。切手は1枚1000円×4枚収録しています。

発行部数は10万部と少ないため、希少価値も高くなっています。

作者と作品について

葛飾北斎とは

葛飾北斎は1760年(宝暦10年)生まれの江戸後期の浮世絵師です。90歳まで創作活動を続けました。

19歳のとき役者絵師の勝川春章に入門します。しかし北斎は狩野派や洋画にも興味を持って描いていたため、破門となります。

35歳の頃は琳派の俵屋宗理を襲名しています。この頃は浮世絵とは異なる狂歌絵本を多数発表しています。

そして1805年の46歳のとき、葛飾北斎と名乗って画派に関わることなく、独自路線の絵師となります。

長編小説の挿絵や浮世絵版画、美人画を発表していきました。作品には狂歌本「絵本隅田川 両岸一覧」、読本「近世怪談 霜夜星」、筆画「八朔太夫」などがあります。

51歳(1810年)になると戴斗の号を用います。この頃は絵手本「略画早指南」を発表しています。

55歳のときは絵手本「北斎漫画」を発表します。これはとても評価され、15編も刊行されました。

1820年の61歳のとき、為一の号を用います。絵手本「今様櫛きん雛形」などの絵手本を制作しています。

そして錦絵に力を入れるようになり、1831年の72歳のとき、1823年から制作を開始した「富嶽三十六景」全46枚が完成します。富士山が見える各地の景観を描いた作品で、北斎の代表作となりました。

このような浮世絵による風景画は当時「名所絵」と呼ばれていました。他にも「諸国瀧廻り」などの風景版画や花鳥版画の秀作も次々に制作します。

75歳には画狂老人卍へと号を変更。最晩年は絵本「富嶽百景」や動植物を題材とした肉筆画「肉筆画帖」などを発表します。

80代でも創作意欲は衰えず、1849年、90歳で肉筆画「富士越龍」を制作した後、病に倒れて長い人生に幕を下ろします。

19世紀後半からは日本の美術工芸品が欧州で広がりました。これをジャポニズムといいます。

葛飾北斎の作品も同様に影響を与え、例えばゴッホやクロード・モネは北斎や歌川広重の作品を集めていましたし、ポール・セザンヌは富嶽三十六景の富士山のような山を描いたそうです。

このように海外へも非常に強い影響を与え、大変評価されていたことがわかります。

冨嶽三十六景「神奈川沖浪裏」

「神奈川沖浪裏」

冨嶽三十六景の中でも特に傑作とされ、海外でも日本の素晴らしい美術作品として認知されています。

荒々しく大きな波の動きと、遠くに見える富士山の静けさが対比された作品です。

波の三角や配置・構図が斬新で、当時それまでの絵画にあったような高い場所から見下ろした景色ではなく、低い視点から描かれているのが特徴です。

よく見ると大波には押送船とその舟に乗った人々が波と格闘している姿も描かれています。

海外ではこの作品を「グレートウェーブ」とも呼んでいます。

冨嶽三十六景「凱風快晴」

「凱風快晴」

「赤富士」で知られている作品です。このシリーズの作品の中でも、最も富士山が美しいとされています。

タイトルの「凱風」は初夏に吹く南風で、その南風と快晴の天候で見える富士を描いています。

空はいわし雲がたなびき、美しい稜線、下には樹海とシンプルな要素でまとめています。

山肌が赤いのは、朝日によって赤く染まった一瞬を描いたものと考えられています。

富嶽三十六景は様々な切手図案に登場

葛飾北斎の富嶽三十六景は国際文通週間切手でシリーズ化されています。

「東海道五十三次「京師」切手」を第一回目として、以降全種類が1枚ずつの切手になっています。

その他も切手展や世界遺産切手など、多くの切手の図案として採用されています。

「日本国際切手展2011切手」
「第7集 富士山-信仰の対象と芸術の源泉切手」
「凱風快晴・四季草花図ペア切手」
「上総の海路・芙蓉に雀ペア切手」

コレクションに最適

この豪華な「切手帳 グリーティング JAPAN」はふだんの郵便切手というよりはコレクション切手になっています。

発行部数も少ないので希少価値も高く、解説書や特製ケースは所有感を満足させてくれるでしょう。

また海外の方へこの切手帳をプレゼントするのもおすすめです。とても喜ばれると思いますよ。

まとめ

  1. 金箔で豪華な切手帳
  2. 葛飾北斎の富嶽三十六景が金箔に
  3. 海外へのプレゼントもおすすめ