海外出張や長期の旅行などでは、長い期間車を放置しておくことになります。
「長期間放置したらトラブルがでないか心配」
「車のバッテリーが上がってしまう」
という不安があると思います。
このページでは、そんな場合に備えてバッテリー上がりを防ぐ方法や注意点をご紹介しています。
バッテリーの役割について
車のバッテリーはご存知のようにヘッドライト、エアコン、ブレーキランプ、またオーディオやカーナビにも電力を供給しています。
車種によりますが、40Ahや50Ahなどの容量のバッテリーが積んであります。
このバッテリーは車を走らせることで発電機がバッテリーを充電する仕組みになっています。
つまり頻繁に車を動かしていれば、バッテリーの電力がなくなることはありません。
長期間車を使わないとどうなる?
長期間車を動かさない場合、発電機が動作しないためバッテリーへの電力供給が無くなります。
電気がそのまま残った状態ならよいのですが、実際にはバッテリーの電力は自然放電などがあり徐々に減っていきます。
ついに空になってしまうとバッテリーは激しく劣化してしまい、他の車のバッテリーから電気を供給してもらってもエンジンはかからなくなります。
一旦車を手放すのもアリ?
長期の出張であれば、出張期間がはっきりしていないことはよくあります。
例えば当初の計画通りに業績が伸びない、またはスケジュール遅れで期日が未定になるケースです。
このような場合、保管している車はバッテリーやタイヤが傷んでしまうため、再び車を動かすには交換作業が必要で5万円などの費用がかかります。また毎月の駐車代や保険料も無駄に支払うことになります。
そのため長期保管になる場合は一旦売却する人も多いです。
バッテリー上がりを防ぐ方法<その1>
ここからはバッテリー上がりを防ぐ方法をご紹介します。
電力の消費は「待機電流」と「自然放電」という2つの原因で減っていきます。
まず1つ目は「待機電流」についてです。
待機電流の放電がある
車にはエンジンコンピューターや時計、オーディオなど電子機器がいくつもあり、エンジンをかけていなくてもそれらに微量の電流が流れています。
わかりやすい例として、家の中の家電製品は電源がOFFの状態でも待機電力が消費されていますよね。
それと同じで、車の電子機器にも待機電力として電力が消費されています。
待機電流はどのくらい消費する?
待機電流の電力は車の装備によって様々ですが、セキュリティ類を取り付けるとだいたい20mA~40mA程度になることが多いです。
ここでは30mAとして計算すると、
1日24時間×30mA=7200mA
7200mA×30日(1ヶ月)=21.6Ah
このように1ヶ月で21.6Ahを消費するので、だいたい2ヶ月でバッテリー容量の電力を消費する計算になります。
ただしこれはバッテリーが新品で電力が満タンだった場合の計算なので、バッテリーの劣化が進んでいたり、長期保管前に電力容量が半分しかなかったりすると1ヶ月ももたないことがあります。
待機電流を止めるには
待機電流を止めるには、バッテリーのマイナス端子を外すことで、電子機器への電流を止めることができます。
バッテリーはエンジンルームにあることが多いですが、ワンボックスなどは助手席の下や、輸入車は後部座席の下など位置は車種によって異なる場合があります。
バッテリーのマイナス端子を外すというのは、電化製品の乾電池のマイナス側を外してくっつけないようにする、というのと全く同じです。これによって電気が流れないようになります。
マイナス端子を外す際、工具がマイナス端子とプラス端子の両方に付くと発火して非常に危険です。必ずプラス端子に触れないよう作業してください。
バッテリー上がりを防ぐ方法<その2>
2つ目の原因は自然放電になります。
上記のようにマイナス端子を外して電気を使わないように対処しても、この自然放電により徐々に電力は減っていきます。
自然放電とは
自然放電はバッテリーの特性で、電気を使わず保管してある状態であっても、時間とともに蓄えた容量の電気の量が減っていくことをいいます。
この自然放電は周囲の温度で放電量が大きく変わってくる特徴があります。
温度が高いと自然放電が増加
自然放電は温度が大きく関係していて、周囲の温度が高い場所ほど、自然放電が増加して電気の量が減りやすくなります。
そのため、夏の屋外で駐車しているとバッテリー内の電気がどんどん減ってしまいます。
頻繁に運転すれば大丈夫ですが、夏に長期間保管する場合はバッテリーが上がる確率が高くなります。
自然放電を抑えるには
自然放電は温度がポイントなので、できれば長期間保管場所は屋内が理想です。
屋外であれば、車にカバーをかけて少しでも直射日光を避けるべきです。ただカバーでもバッテリー周囲の温度はそれほど変わらないので、放電は避けられないでしょう。
極寒地でもデメリット大
北海道や東北地方のような冬が寒い地域の場合、気温が低いのでバッテリーの自然放電は少なくなります。
しかし寒さによりエンジン始動のパワーが落ちてしまうので、エンジンがかからないケースが起きやすくなります。
この場合は数日おきにエンジンをかけることでパワー低下をある程度防ぐことができます。家族などに頼んでおけるのであれば手伝ってもらいましょう。
また寒さによりバッテリーの劣化が進んでしまう問題もあります。
バッテリー上がりを防ぐ方法<その3>
最後はできない環境の人もいるかもしれませんが、一番良い方法は家族や親族に時々車を動かしてもらうことです。
少しでも走らせておけば、バッテリーに電気が充電されバッテリー上がりを防ぐことができます。
古い場合は特に注意
古いバッテリーは劣化が進んでいて、本来の電気量を溜めることができないため、2週間程度でバッテリー上がりが起きることもあります。
一般的には3年を過ぎると劣化が大きくなると言われていて、車検ごとにバッテリーを交換している人も多いと思います。
もし車検でバッテリー交換をしなかった場合、劣化したバッテリーを使うことになるので注意が必要です。
劣化には気づかないもの
バッテリーが劣化していることは、ふだんの走行では全くわかりません。
「数日乗らなかっただけで急にエンジンがかからなくなった」
というようなケースも実際にはあります。いつの間にかバッテリー容量が30%くらいまで低下していると、このようなことが起きてしまいます。
製造日が比較的新しいバッテリーであっても、ホームセンターなどで販売されている品質の低いバッテリーは1年や2万km程度で劣化が激しくなります。
また車にあまり乗っていないままで保管すると、バッテリーに電気が残っていないので上がりやすくなります。また電気量が空の状態で長く放置すると新品のバッテリーでも劣化が急激に進んでしまうデメリットもあります。
車を長期間保管する場合は以下の注意が必要です。
- 車検のバッテリー交換から長く経っている
- 中古車を乗っている
- 安価なバッテリーに自分で交換した
- 最近車に乗っていなかった
帰宅後にエンジンがかからない場合
バッテリー上がりになっている場合は、別の車のバッテリーから電力をもらう方法があります。これをジャンピングスタートといいます。
数分でも電気をもらうことができればエンジンは始動できるので、車を動かせることになります。
保険会社のロードサービスに連絡しても、この方法でエンジンをかけてくれます。
ただバッテリーが劣化していた場合はジャンピングスタートでもバッテリーは動かないので、バッテリーを交換する必要があります。
ディーラーによってはバッテリーを持ってきてくれたりしますし、カー用品店に連絡すれば出張でバッテリー交換をしてもらえるサービスがあるので一度問い合わせてみましょう。
まとめ
- マイナス端子を外して電力を止める
- 自然放電は暑いと増加する
- バッテリーは品質次第で劣化が起きやすくなる
- エンジンがかからないときはディーラーへ連絡