アルコール分解の時間イメージ

飲酒してからアルコールが分解され、体から抜けるまでには一定の時間がかかります。

「深夜まで飲んでいたので、翌朝運転してよいか心配だ」

という運転がいつから大丈夫か気になる人は多いと思います。

このページではお酒の量とアルコールが分解されるまでの時間を説明しているので、参考にしてくださいね。

ビール500mlで3時間程度

ビール(5%)の500mlは3~4時間で体から抜けると言われています。

ビール500mlには、お酒に含まれる純アルコール量が約20gとなっていて、このアルコール量を体が分解するのに3~4時間かかることになります。

その計算は、「体重1kgで1時間に0.1gを分解する」という統計からきています。

この統計だと体重70kgの人の場合、1時間に7gの純アルコールを分解できることになり、約3時間で約20gを分解できることになります。

他のお酒の分解時間は?

ビール500mlの純アルコール量は約20gでしたが、他のお酒ではどのくらいの量が含まれているのでしょうか。

お酒の種類によって異なる分解時間を一覧表にまとめてみました。

アルコールが抜ける時間

アルコールが抜けるのは意外と時間がかかるもので、焼酎1合(ストレート)で約7時間もかかります。

この表では1種類ずつの時間を表していますが、複数飲むとアルコールが抜ける時間は合計になります。

ビール500mlと日本酒2合を飲めば、12時間は体から抜けないことになります。

実際に計測してみよう

飲酒量から呼気アルコール濃度と分解時間が10秒で判明する、東海電子株式会社の「飲酒シミュレーション」を利用するのも一つの方法です。

大酒した場合の時間

お酒を大量に飲むと、当然分解されるまでの時間も長くなります。

例えば、以下のお酒を飲んだケースを例にしてみます。

  1. ビール中ジョッキ(1杯)…19.8g
  2. 日本酒(2合)…42.6g
  3. カクテル(2杯)…71.1g

これら合計のアルコール量は133.5gとなりました。

従って、上記の計算式では133.5÷7=19時間も分解までにかかることになります。

体重が50kgの人の場合は27時間となり、まる1日以上は体内にアルコールが残っていることになります。

確実に翌朝は本人の自覚にかかわらず二日酔いになっていますので、車の運転はしてはいけません。

時間とともに減少

体に入ったアルコールは、時間とともに減少していきます。

日本酒を例として、グラフで表してみました。

呼気アルコール濃度

飲むのを止めた時点からどの量でもグラフが下降していきます。

この下降線は、お酒に強い人と弱い人でも異なります。弱い人は線が下がりにくくなります。

もし時間をかけて少しずつ飲み続けるような場合は、グラフが右にずれていくことになります。

睡眠すると長く体内に残る

このグラフは起きている状態での濃度です。覚醒時はアルコールが分解されやすいのですが、就寝中は分解スピードが遅くなります。そのため飲んでから寝た場合は、このグラフより下がりにくくなるので注意が必要です。

個人差も大きい

このアルコールが分解されるまでの時間は、個人差の影響も大きくなっています。

先ほどは体重70kgの人は1時間に7g分解するとして計算しましたが、同じ体重でも少ない人や多い人が実際にはいます。

アルコールは体内でアセトアルデヒドという物質に変わりますが、最終的にはアルデヒド脱水素酵素(ALDH)によって完全に無害化されます。

しかし、日本人は2人に1人の割合でこのアルデヒド脱水素酵素(ALDH)があまり働かない体質ということがわかっています。

つまり半数の人はアルコールの無害化が遅いことになり、お酒が弱いことになります。

男性と女性でも差がある

アルコールの分解スピードは男性と女性でも差があり、平均的には男性の方が分解が早くなります。

ここで統計から分解スピードの平均値をご紹介しましょう。

※統計は独立行政法人国立病院機構久里浜アルコール症センターが公表したデータになります。

男性の平均的分解スピード

男性の平均的な分解スピードは、1時間に6g~13gとなっています。

ただ6g~10gの範囲の人が多く、10g以上はごく一部の人に限られています。

女性の平均的分解スピード

女性の平均的な分解スピードは、1時間に4g~11gとなっています。

ただ4g~7gの範囲の人が多く、7g以上はごく一部の人に限られています。

影響の差は他にもある

アルコールの分解は、体重や性別以外にも影響があります。

アルコール分解の差
  • 男性 > 女性
  • 中年 > 未成年者・高齢者
  • 体(骨格)が大きい > 体(骨格)が小さい
  • 顔が赤くならない > 顔が赤くなりやすい
  • 起きている時 > 睡眠時
  • 食後 > 空腹時
  • 毎日飲む > たまにしか飲まない

空腹時は酔いやすいことはよく知られていることと思います。

顔が赤くならない人も、お酒が強い部類になります。(ただ酔うのに顔に出ないタイプの人もいます)

体が大きく体重が重い人が分解が早くなります。これは体脂肪率を除いた、もともとの骨格が大きな人が早いという意味です。骨格が大きい人は肝臓も大きいので分解が早くなります。

飲んだら乗るな、ではいつまで?

飲んだら乗るな、飲むなら乗るなとはよく言われますが、調査をすると昨晩のアルコールが翌朝にまで残るケースがあることがわかりました。

では、「乗るなはいつまで?」

という疑問が出てくると思います。

この基準が明確になっていないので、ドライバーは不安な気持ちで毎朝出勤することになります。

前日の早い時間でやめる

警察庁の発表によると、午前中の交通事故は飲酒(二日酔い)による事故が多いのだそうです。おそらく一晩寝れば大丈夫と思って運転する人が多いのだと思います。

大酒だと翌日まで確実にアルコールは残るので、前日の早い時間までで飲むのを止め、量も控えるのが対策になるでしょう。

実際、アルコールチェック検査のある会社に就職した人が、入社してすぐに飲酒判定が出て会社から処分を受けたという話があります。

その人はその後、お酒を飲む場合は時間を夜9時までと決め、ビール1杯程度だけにしたところ、以後引っかかることはなくなったそうです。

多くの会社ではアルコールチェックは行われていませんが、車通勤をしている人はこのように早い時間で飲酒を切り上げることが大切になります。

免許が取り消しになる飲酒量についてはこちら↓

もし飲酒運転で取締りを受けると

飲酒運転で取締りを受けると、呼気アルコール濃度が0.15mg以上~0.25mg未満の場合は「90日の免停」となります。

0.25mg以上だった場合は「免許取り消し」になり、2年間は免許の再取得もできない処分となります。

もし免許取り消しになった場合は、車の維持費を無駄に支払うことになるので一旦売却する人が多いです。

飲酒は24時間前まで

2018年、航空会社でパイロットの飲酒問題が大きなニュースになりました。

これをうけて、日本航空は乗務の24時間前から飲酒を禁止することをルール化しました。

全日空は12時間前までの飲酒量をビール500mlを2本までと明文化しました。

これは車を運転するドライバーにも参考になります。全国の企業が推奨してもいいくらいですね。

まとめ

  1. ビールなら抜けるまで3時間程度
  2. 大酒は抜けるのにまる1日かかる
  3. アルコール分解は個人差も大きい
  4. 前日の遅くまで絶対に飲まない

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