3ヶ月放置イメージ

車の長期保管はなるべく避けたいものですが、実際には様々なケースで起きることがあります。

「事故による入院で車を放置したままになった」

「海外出張が多い仕事に就き、車を放置することが増えた」

このように予想せず3ヶ月も車を放置することになったら、車はどんなトラブルが起きるのでしょうか。

注意点や対処法もご紹介しているので参考にしてくださいね。

長期保管はトラブルが多い

病気やケガで急に入院したり、長い海外出張で自宅の愛車を放置せざるを得ないケースが起きることがあります。

しかし、車は頻繁に乗ることでメンテナンスが保たれているので、長期間保管していると以下ようなトラブルが起きやすくなります。

長期保管で起きるトラブル
  • タイヤの不具合
  • 油膜切れ
  • バッテリー上がり

これらのトラブルについて、順に詳細と対処法をご紹介していきます。

タイヤの不具合

車を動かさない場合、タイヤは同じ負荷の状態でずっと維持することになります。

すると、徐々に空気が抜けていくようになります。地面に接地している部分が凹み、いわゆる「つぶれ癖」ができるようになります。

わずかなつぶれ癖であれば、すぐに運転することで元に戻ります。

しかし凹んだ形でタイヤのゴムが馴染んでしまうと、再び走り出しても形は変わらないので走行中にパタパタと音がして振動も起きてしまいます。

空気圧によりますが、だいたい1ヶ月も放置するとつぶれ癖ができてしまいます。

また夏の暑いアスファルトに触れされていると、ゴムにヒビが入りやすくなります。夏の放置は特に不具合が多くなります。

タイヤ4本を交換する場合、一般的なカー用品店では工賃込みで5万円程度かかります。

タイヤ不具合の対処法とは

長期間車を保管する場合の、タイヤの保存方法をご紹介します。

半月程度でタイヤを転がす

長期保管中に家族などに頼んで車を動かしてもらう方法になります。

少し動かして再び止めれば、地面に接触していた部分をずらすことができます。

空気圧を上げる

保管の前に、空気圧を上げておくことで空気の抜けを遅くできます。

通常の空気圧は250~270kPa程度がベストですが、この保管前は300kPa以上にして高めておきます。

ジャッキアップしておく

ジャッキアップしておくことで、地面に接地しないため上記のタイヤの不具合を防ぐことができます。

この場合は空気圧を高めておく必要はなく、むしろ半分くらいに低くしておくとゴムにテンションがかからないので傷みにくくなります。

ただジャッキアップは車体の変形が起きる場合もあり、あまり長期間のジャッキアップ状態はおすすめしません。

保管用タイヤに変えておく

傷んでも大丈夫な保管用タイヤに変えておく方法になります。この場合は外したタイヤを屋内へ保管できるメリットがあります。

外したタイヤはゴムにテンションがかからないよう空気圧を半分程度に下げ、横向きの平積みで保管しておきます。

あきらめて交換する

タイヤは外して保管していても4~5年でゴムの劣化が起きて交換時期となります。

またタイヤの溝は1.6mm以下になるとスリップラインが現れ、運転してはいけない状態になります。

ある程度タイヤを使っていた状態で長期間保管するのであれば、思い切って次に乗る前に新品タイヤに交換するのも一つの方法です。

油膜切れ

車を運転するとエンジン内部のオイルが循環しますが、エンジンを止めると重力で最下部のオイルパンへ溜まります。

通常であればこの程度は全く問題ありませんが、長期で動かさない状態が続くと部品表面のオイルが全て落ちてしまう現象が起きます。これを油膜切れといいます。

この油膜切れでエンジンをかけるとドライスタートという部品同士がこすれる状態になります。部品が削れたり摩擦で溶けるなどの不具合が起きます。

しばらくエンジンを動かしていると内部全体にオイルは行き渡りますが、それまでのドライスタートのダメージがエンジンの故障につながります。

オイルの品質によって異なる

エンジン内部が完全に乾いてしまうまでの期間は、オイルの品質によっても異なります。

良質のオイルなら3ヶ月程度経っても乾くことはないと言われていますが、品質が悪いと1ヶ月程度で乾いてしまいます。

油膜切れの対処法とは

油膜切れによるドライスタートの対処法は、残念ながら決定的な方法はありません。

ただ軽減させる方法はあります。

アイドリングを行う

アイドリングを行うことで、エンジンの回転を抑えながらオイルを潤滑させることができます。

ダメージはゼロではありませんが、ある程度抑えながら回復させることができます。

オイルが潤滑するまでは1分程度、気温が低い場合は2分程度かかります。

保持性の高いオイルに替える

もし長期間保管が決まっていれば、その前にエンジンオイルを品質の良い保持性の高いオイルに入れ替えておく方法があります。

純正品以外でも油膜保持剤を配合したオイルが売られているので、保管前に入れ替えておくとよいでしょう。

バッテリー上がり

車のバッテリーは時計やオーディオ、ルームランプ、ヘッドライトなどの電力源として使用しています。

どこから電力を供給しているかというと、車を走らせることで発電機が作動してバッテリーに電力が供給されるようになっています。

そのため、長期間保管して動かさないとバッテリー上がりが起きてしまいます。

バッテリー上がりの対処法とは

車はエンジンを切っている状態でも、待機電力が流れています。エンジンをかけると正確に時計が動作するのはそのためです。

またセキュリティをつけていると24時間電気を使用しているため電力を消費します。

そこで、長期保管の前に電気を止めておきます。

バッテリー上がりのさらに詳しい情報はこちら↓

マイナス端子を外す

バッテリーを直接外すのは大変ですが、ケーブルを1本外すだけで電流を止めることができます。

バッテリーのマイナス端子を外します。これで電気は止まります。

再度エンジンを動かしても時計やカーナビの情報はリセットさせてしまいますが、また再設定をしましょう。

自然放電は防げない

バッテリーから電子機器に電気が流れていなくても、バッテリーから自然放電は起きてしまいます。

特に、温度が高い状態だと放電は早くなります。本来の満タン容量が短期間でなくなってしまいます。

また、バッテリーを交換せずに長く使用していると劣化も起きています。

品質の低いもので1年、良いもので3年経つと最大容量が減っていきます。

そのため古いバッテリーの場合は容量が小さいので短期間で放電してしまいます。

もしバッテリー上がりになったら

エンジンがかからないバッテリー上がりになった場合は、ジャンピングスタートという方法があります。

これは他の車のバッテリーから電気を補充してもらう方法で、ブースターケーブルを用いてバッテリー同士をつなげることで、充電することができます。

しかしバッテリーの劣化が起きてバッテリー上がりになっている場合はジャンピングスタートでも復帰しません。

この場合はバッテリー交換となるので、ディーラーやカー用品店へ連絡して交換してもらいましょう。

一旦売却する人も

入院や不定期の出張など、車のメンテナンスができない状態ではタイヤが劣化したりバッテリー上がりが起きてしまいます。

また毎月の駐車代や保険料などの維持費も無駄に支払うことになります。

そのため、このような長期保管のケースでは一旦車を売却する人が多くなっています。

まとめ

  1. タイヤはジャッキアップなどが有効
  2. 油膜切れにはアイドリングをする
  3. バッテリーはマイナス端子を外す
  4. バッテリー上がりの場合はジャンピングスタートで充電できる

関連記事