自動車は放置しておくと傷んでしまいますが、毎日使うことでメンテナンスができると言われます。
ではハイブリッド車の場合も長期間乗らないと傷んでしまうのでしょうか?
「大きなバッテリーが積んであるからある程度大丈夫では」
と思いがちですが、実はハイブリッド車もガソリン車と同じように長期保管するとトラブルが起きてしまいます。
このページでは、ハイブリッド車を長期間乗らない場合の対処法をご紹介しています。
長期保管するとどんな問題が起きる?
車に乗らず放置していると、このような様々な問題が起きてしまいます。
- タイヤの変形
- 燃料タンクの腐敗
- バッテリー上がり
それぞれのトラブルと、その対処法をご紹介します。
タイヤの変形
タイヤは動かさずにいると、徐々に空気圧が落ちていき、地面と接触している部分が凹んできます。
そしてその凹んだ形で固まってしまい、ひどい場合は全く戻らなくなります。
特に空気圧が減っている状態で停めると変形が進みやすいですし、真夏のアスファルトの温度でもヒビなどのトラブルが出てしまいます。
タイヤの対処法
一番簡単な方法は、3ヶ月程度の保管であれば空気圧を300kPa以上の少し高めの空気圧にして減りにくくしておくと、変形を遅らせることができます。
また保管している間に家族や知人によって時々少し車を動かしてもらうと、地面と接触している位置を変えることで変形を防ぐこともできます。
ジャッキアップさせて車体を浮かせておく方法もありますが、車体のゆがみの原因にもなるので長期間のジャッキアップはあまりおすすめしません。
タイヤは溝がすり減ってくると交換時期となります。溝が1.6mm以下になるとスリップラインが見えるようになり、その状態では運転してはいけないことになっています。
もし保管前にある程度すり減っていたら、特に対処せず、次に乗る前にタイヤ交換をするのも一つの方法です。
もし海外赴任などで2~3年の保管になる場合は、ジャッキアップしていてもゴムが劣化するため、タイヤ交換が必要になります。
燃料タンクの腐敗
燃料タンクに空間があると、その部分が腐敗する可能性があります。
車はバイクの燃料タンクほど腐敗は起きませんが、それでも長期間となると用心した方が安心です。
対処法としては、ガソリンを満タンに入れておくことで空間をなくし、腐敗を防ぐことができます。
ただ長期保管だとガソリンの変質が考えられるため、次に乗るときはガソリンの入れ替えもしておきましょう。
バッテリー上がり
長期間車を動かさないと、バッテリー上がりが起きます。
ハイブリッド車ではバッテリー上がりは起きないと思っている人がいますが、実はガソリン車と全く同じで、補機バッテリーが上がるとエンジンはかからなくなります。
補機バッテリーとはガソリン車のバッテリーと同じ役割があり、エアコンやヘッドライト、カーナビ、オーディオなどの電子機器の電力として使用します。
車を動かす際のハイブリッドシステムの起動にも使われるため、空になるとエンジンがかからなくなります。
どのくらいでバッテリー上がりが起きる?
どのくらい長期間乗らないとバッテリー上がりが起きるかについては、補機バッテリーの劣化具合と、溜めている電気量によるのではっきりと言うのは難しくなります。
ネットの情報では海外出張をして半年後に帰ってもエンジンがかかった例がありました。
おそらくその補機バッテリーは劣化していない新しいもので、電気も十分な量があったと考えられます。これはレアケースかもしれません。
多くの事例では3ヶ月経つとエンジンがかからない、などがよく見られます。
もちろん補機バッテリーが劣化している状態では溜まる電気量は少ないので、1ヶ月もしないうちにバッテリー上がりが起きることもあります。
バッテリー上がりの対処法
マイナス端子外し
車は駐車している状態でも、電子機器への待機電力を消費しています。
少しでも電力を使わないよう、保管前に補機バッテリーのマイナス端子を外しておくことで、微弱な電流を止めることができます。
アイドリングを行う
1ヶ月に1度、3時間程度のアイドリングを行うことで補機バッテリーに電力を補えます。
ガソリン車の場合でもアイドリングを行うことでエンジンを回転させてバッテリーに充電させることができますが、ハイブリッド車も同じです。
ハイブリッド車の場合はアイドリングをすると大容量の駆動用バッテリーの電気が補機バッテリーへ送られる仕組みになっています。
長期間乗らない場合は、家族や知人などに定期的なアイドリングをお願いしておけば解決できます。
ハイブリッド車にはバッテリーが2つ
ガソリン車の場合はエンジンルームに入っている12Vバッテリーがありますが、ハイブリッド車はバッテリーが2つあります。
先ほど説明した「補機バッテリー(12Vバッテリー)」と「駆動用バッテリー(HVバッテリー)」の2種類が搭載されています。
(補機バッテリーの位置は車種によってはエンジンルームにあります)
駆動用バッテリーは走行の電力として使用するバッテリーで、200Vの大容量電池になります。またエンジン始動のモーター回転の電力にも使用します。
補機バッテリーが上がったら
補機バッテリーが上がってしまい、エンジンがかからない場合はジャンピングスタートを利用します。
他の1台のバッテリーから5分程度電気を流してもらえれば、ハイブリッドシステムは可動してエンジンがかかるようになります。
(救援車はハイブリッド車だと電圧の問題でトラブルが起きるため、ガソリン車からもらいます)
頼める車がない場合は、ロードサービスに依頼することができます。
駆動用バッテリーは上がらない?
引用元: トヨタ車の駆動用バッテリー
駆動用バッテリーは大容量なので、2~3ヶ月程度で上がることはないと思われます。
それよりも先に補機バッテリーが上がってしまうので、まずはそれを防ぐことが大切になります。
エンジンをかけてアイドリングを行ったときに、万一駆動用バッテリーの容量が減っていても、車がエンジンを回転させて駆動用バッテリーを充電する仕組みになっています。
そのため定期的なアイドリングができれば、どちらのバッテリーも上がることはありません。
ただ、アイドリングをせず長い期間放置していると、補機バッテリーも駆動用バッテリーもどちらも上がってしまいます。
駆動用バッテリーを外部から充電するのは工場持ち込みになるため、かなり手間がかかる作業が必要になります。
ハイブリッド車のバッテリー交換は費用が高い
もし補機バッテリーを空にしてしまうと、バッテリーの特性の問題で劣化が進んでしまいます。
そのバッテリーは容量が小さくなり、さらにバッテリー上がりが起きやすい状態になります。ガソリン車のバッテリー交換に比べ、ハイブリッド車のバッテリー交換は車種によりますが金額が高いことが多いです。
プリウスなどは補機バッテリーの交換に4~5万円もかかるので、節約のためにも補機バッテリーは電気が空にならないよう注意が必要です。
万が一、駆動用バッテリーが劣化して交換が必要になった場合、車種によりますが30万円~70万円などの費用がかかります。
めったにないケースなので情報は少ないですが、口コミではホンダのフィットの駆動用バッテリー交換は50万円という情報が出ています。
車の処分を検討する人も
入院や海外出張などにより、長い期間車を放置せざるを得ない状況になることがあります。
その間でも毎月の駐車代はかかりますし、保険料も支払い続けることになります。先ほど説明したように、タイヤやオイル関係など車が傷むことにもなります。
ましてハイブリッド車の場合は駆動用バッテリーという高価なバッテリーが付いているため、この心配もあります。
このような場合は維持するのは不安が大きいため、一旦売却を検討する人が多くなっています。
まとめ
- 長期保管はタイヤを変形させる
- ハイブリッド車もバッテリー上がりが起きる
- アイドリングで充電できる
- 駆動用バッテリーも上がる可能性がある