ハイブリッド車燃費イメージ

ハイブリッド車はプリウスを始め様々な車種が登場しています。

しかし「ハイブリッド車は本当にお得なの?」

という疑問の声もよく聞かれるようになりました。

ネット上でも、費用対効果はガソリン車の方がお得という内容がたくさん書かれています。

しかし実はカタログ燃費で計算しても本当の維持費にはなっておらず、乗り方によってはハイブリッド車はとても安くなることがわかりました。

このページでは実燃費をもとにハイブリッド車vsガソリン車の維持費を比較しています。

本当の維持費を知りたい方は参考にしてくださいね。

燃費によるガソリン代の違い

燃費が良くなると、当然ですがガソリン代は安くなります。

年間走行距離が1万km、ガソリン価格が140円/Lで計算すると、年間のガソリン代はこのようになります。

燃費 年間ガソリン代
スポーツ系・ミニバン
燃費10km/L
14万円
コンパクトカー
燃費15km/L
9.3万円
ハイブリッド車
燃費20km/L
7万円
ハイブリッド車
燃費25km/L
5.6万円
ハイブリッド車
燃費30km/L
4.8万円

このように燃費によるガソリン代の差は大きく、燃費が悪いスポーツカーから30km/Lのハイブリッド車に乗り換えると、年間で10万円も節約できることになります。

ハイブリッド車といってもこれまでの平均実燃費は良くて23km/L程度でしたが、カー専門誌の調査では最新のプリウスは平均30km/L近い数値が出ており、今後も燃費は向上していくと予想されます。

一方、ガソリン車で車体が重いミニバンや、走りを重視したスポーツ系、SUVなどは10km/L以下になることもあり、ハイブリッド車との差が広がっています。

2台のガソリン代を比較

ハイブリッド車とガソリン車の維持費を正確に比較してみます。比較条件は以下のようになります。

人気車種3台

人気車種である日産セレナ、トヨタヴォクシー、トヨタヴィッツの3台で金額をシミュレーションしてみます。

この3車種はそれぞれのグレードにハイブリッド・ガソリンを選択できるので比較しやすくなっています。

販売価格で購入

条件は公平にするため、オプションなし、値引き無しで販売価格で購入した場合を想定しています。

税金の計算方法

また自動車税などの税金は、差がつきやすい購入後5年間の総額を計算に加えています。(エコカー減税の6年目からの重量税減税は小額なので影響は小さくなります)
※エコカー減税は2018年時点になります

実燃費の元データ

実燃費はカービューが運営する「みんカラ」に書き込まれた平均燃費を使用します。

走行距離

走行距離は一般的に年1万kmと言われますが、ソニー損保による2017年の調査では全国平均で約6,000kmとなっています。

このページの比較では6,000km・10,000km・20,000kmで年間ガソリン代を計算しています。

ソニー損保年間走行距離

日本自動車工業会の調査では全国平均の走行距離が月間370km(年間4,400km)となっていて、近年は買い物程度に車を使用する人が増えているようです。

日本自動車工業会の年間走行距離

日産セレナでの比較

ミニバンで常に販売ランキング上位に入る、日産セレナになります。2018年3月発売のハイブリッド車セレナe-POWERによって燃費は格段に向上しました。

ここではハイブリッド車の「e-POWER ハイウェイスター」と同じグレードのガソリン車でである「ハイウェイスター」で比較をしてみます。

セレナe-POWER
ハイウェイスター
セレナ
ハイウェイスター
カタログ燃費 26.2km/L 17.2km/L
実燃費 平均15.72km/L 平均9.82km/L
価格 約318万円
(自動車取得免税)
約274万円
(自動車取得税20%減税)
5年間の
自動車税・重量税
147,000円
(自動車税75%減税+重量税免税)
240,000円
(自動車税減税なし+重量税25%減税)
価格差 +35万円

新車価格では「e-POWERハイウェイスター」が44万円高くなっていましたが、エコカー減税は「e-POWERハイウェイスター」の方が優遇が大きいため、5年間の税金を加味すると差額は35万円になりました。

あとはこの35万円を、ハイブリッドの低燃費でいかに補えるかがポイントになってきます。

年間のガソリン代はガソリン価格を140円/Lとしてこのような計算式になります。

計算式

ガソリン代140円/L÷実燃費×走行距離6,000km=年間ガソリン代

これの計算式に当てはめると

走行距離6,000kmの場合
  • セレナe-POWER ハイウェイスター(15.72km/L):5.3万円
  • セレナ ハイウェイスター(9.82km/L):8.6万円

年間ガソリン代の差は33,000円となりました。先ほどの価格差35万円の元を取るには、約10年かかってしまうのでやや割高ということになります。

走行距離が短いとガソリン代はガソリン車とあまり変わらないことになります。

もしこれをカタログ燃費で計算してしまうと、

  • セレナe-POWER ハイウェイスター(26.2km/L):3.2万円
  • セレナ ハイウェイスター(17.2km/L):4.9万円

と17,000円の差となってしまい、約21年もかかるので元が取れないことになってしまいます。このためカタログ燃費を用いた計算は実際とはかけ離れた金額差となるので注意が必要です。

カタログ燃費になることも

渋滞や信号機の少ない地域をメインに走る場合は燃焼効率が良い走りになるため、カタログ表記くらいの燃費が出ることがあります。その場合はガソリン車でも燃費が良く、ハイブリッド車のメリットが小さくなります。

(このセレナe-POWERでは高速道路のテストでも約19km/Lとなっていてカタログ燃費の26.2km/Lには届きませんでした。このように車種によっても違いがあります。)

年間走行距離は約6,000kmでしたが、実際には毎日の通勤で車を使う人もいますし、年間10,000km以上になることもあると思います。そこで距離を延ばした年間ガソリン代も計算しておきます。

走行距離10,000kmの場合
  • セレナe-POWER ハイウェイスター(15.72km/L):8.9万円
  • セレナ ハイウェイスター(9.82km/L):14.3万円

年間10,000kmだと差は54,000円となります。価格差35万円の元を取るには、6年半かかります。

走行距離20,000kmの場合
  • セレナe-POWER ハイウェイスター(15.72km/L):17.8万円
  • セレナ ハイウェイスター(9.82km/L):28,5万円

年間20,000kmだと差は107,000円と大きくなります。価格差35万円の元を取るには、3年4ヶ月となります。

以上から、走行距離が長いほど年間ガソリン代の差が大きくなり、ハイブリッド車のメリットが大きくなることがわかります。

トヨタヴィッツ

トヨタのヴィッツはコンパクトカーとして定番の車種で、2017年からハイブリッド車が登場しました。

ここでは「ハイブリッド F“Safety Edition Ⅲ”」とガソリン車の「“Safety Edition Ⅲ”2WD 1.3L」を比較してみます。

ヴィッツ ハイブリッド F
“Safety Edition Ⅲ”
ヴィッツ F
“Safety Edition Ⅲ”
2WD 1.3L
カタログ燃費 34.4km/L 25.0km/L
実燃費 平均21.92km/L 平均14.68km/L
価格 約190万円
(自動車取得免税)
約160万円
(自動車取得税20%減税)
5年間の
自動車税・重量税
147,000円 193,600円
価格差 +23万円

車両価格では「ハイブリッド F“Safety Edition Ⅲ”」が30万円高くなっていましたが、エコカー減税を加味すると差は23万円となりました。

ガソリン価格を140円/Lとして、実燃費から年間のガソリン代を計算してみます。

走行距離6,000kmの場合
  • ハイブリッド F“Safety Edition Ⅲ”(21.92km/L):3.8万円
  • “Safety Edition Ⅲ”2WD 1.3L(14.68km/L):5.7万円

年間ガソリン代の差は19,000円となりました。先ほどの価格差23万円の元を取るには、約12年かかることになります。

ヴィッツでも年間走行距離が長いパターンも計算しておきます。

走行距離10,000kmの場合
  • ハイブリッド F“Safety Edition Ⅲ”(21.92km/L):6.4万円
  • “Safety Edition Ⅲ”2WD 1.3L(14.68km/L):9.5万円

年間ガソリン代の差は31,000円で、23万円の元を取るには約7年半となります。

走行距離20,000kmの場合
  • ハイブリッド F“Safety Edition Ⅲ”(21.92km/L):12.8万円
  • “Safety Edition Ⅲ”2WD 1.3L(14.68km/L):19.1万円

年間ガソリン代の差は63,000円で、23万円の元を取るには約3年半となります。

ポイントは実燃費と走行距離!

以上の計算から、実際に消費するガソリン代を調べるにはカタログ燃費ではなく実燃費が重要とわかりました。

またハイブリッド車でガソリン代を節約するには、長い走行距離を走る場合でないとあまり意味がないことも判明しました。

車を10年程度乗るのであれば、少なくとも年間10,000km以上は走るとハイブリッド車がお得になります。

今回は同一車種でハイブリッド車とガソリン車を比較しましたが、実際には別メーカーの車種同士で比較することもあるでしょう。

その場合は今回の車両価格の差を参考にして、あまり金額差があるとハイブリッド車で元を取ることが難しくなることも頭に入れて、購入を検討してみてください。

ハイブリッド車の良さは快適性もある

ハイブリッド車は減速時のエネルギーを電力として溜めることができ、燃費の面でメリットがあります。しかし燃費以外にもハイブリッド車にはメリットがあります。

それは高級車のような静音性を味わえたり、モーターを活かした加速力(エコモードを除く)で追い越しや合流がスムーズに行えることです。

最新の技術を結集した自動車を体感できる楽しさは、多くの人が満足しています。仮に走行距離が短くガソリン代があまり節約できない人でも、ハイブリッド車に一度試乗してみることをおすすめします。

ハイブリッド車の低燃費ランキングはこちら↓

まとめ

  1. ガソリン代は実燃費で計算する
  2. 走行距離が長いほどハイブリッド車がお得になる
  3. 車両価格差が大きいと元を取りにくくなる
  4. ハイブリッド車は快適性もメリット

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