これからハイブリッド車を検討している人は、バッテリーの寿命が気になっているようです。
「ハイブリッド車のバッテリーは何年くらいで交換しないといけないの?」
「バッテリーが大きいから耐用年数も長い?」
このようにガソリン車とは異なるため新たな疑問が出ています。
そこで、このページではハイブリッド車のバッテリー寿命について、ガソリン車のバッテリーと比較しながら説明しています。
ガソリン車のバッテリーの役割
ご存じの方も多いと思いますが、ガソリン車のバッテリー(12Vバッテリー)についておさらいしておきます。
通常のガソリン車にはエンジンルームにバッテリーがあり、ヘッドライトやルームランプ、オーディオ、エアコンなどの電装品に電気を供給しています。
またバッテリーの電力でエンジン始動の際のモーターを動かしています。
そのため、ルームランプの消し忘れなどがあると、バッテリーが上がってしまってエンジンがかからない、という状態になってしまいます。
このバッテリーは車を走らせることで充電される仕組みになっていて、30分ほど走ると十分な電力が溜まるようになります。
ガソリン車のバッテリーの寿命と価格
ガソリン車のバッテリー寿命は2~3年と言われています。
スマートフォンのバッテリーなどと同じように、劣化すると充電できる容量が減っていき、バッテリー上がりも起きやすくなってきます。
バッテリー交換はディーラーでもできますが、カー用品店なら安く、さらに自分で交換するならバッテリー代のみの費用で済みます。
バッテリーの価格は車種やバッテリー容量の違いによって変わります。また国産バッテリーは2~3万円、海外製なら1万円以下という違いもあります。
ハイブリッド車は2つのバッテリーがある
ハイブリッド車はエンジンと電気によるモーターの2タイプの駆動ができることが特徴になります。
そしてバッテリーは「補機バッテリー(12Vバッテリー)」と「駆動用バッテリー(HVバッテリー)」の2種類が搭載されています。
補機バッテリーはガソリン車のバッテリーと同じ役割をしていて、ヘッドライトやルームランプなどの電装品に使用します。大きさもガソリン車のバッテリーと特に変わりはありません。
駆動用バッテリーは走行に使うための電力を溜めているバッテリーです。このバッテリーはとても大きく、大容量バッテリーとなっています。
補機バッテリーの寿命
補機バッテリーの場合、ガソリン車のようにエンジン始動の際にモーターを回すことはなくなり、ハイブリッドシステムの起動のみに電力を使います。
そのためガソリン車のバッテリーより多少長もちするので、寿命は長くて5年後を目安に交換することになります。
ただ口コミでは2~3年という短い寿命の人もいるので、使い方次第ではガソリン車と大差がない人もいます。
ハイブリッド車は大容量のイメージがあるので油断しがちですが、ガソリン車と同じくバッテリー上がりは起きるので注意が必要です。
寿命を長持ちさせるには
補機バッテリーの寿命を長持ちさせるには、バッテリー上がりを起こさせないことです。
バッテリーが完全に空になると劣化が早くなってしまい、溜めることができる電気の量が少なくなってしまいます。
駐車した後はルームランプやオーディオの消し忘れには注意しましょう。
また、たまにしか車に乗らない場合も寿命が短くなります。
使用頻度が少ないのであれば長持ちしそうですが、実は逆で、自己放電によりバッテリーは電気量が少ない状態が続くと、劣化が進んでしまいます。
バッテリーにとっては50%~60%くらいの電気量があると一番長持ちしてくれる特性があります。
適度に車を走らせることでバッテリーには常にに電気が溜まり、劣化しにくい状態となるのです。
補機バッテリーの価格
補機バッテリーの交換費用はディーラーに頼むと高く、自分で交換すると安くなります。
プリウスなどはトランクルームに補機バッテリーがあるため水素ガスを社外へ出す装置がついており、交換作業の難易度は高めです。
そのためディーラーに頼むと3~5万円前後の料金となります。
ガソリン車のバッテリー交換よりかなり高くなっています。工賃に加え、バッテリーの価格も高いことも高くなる理由です。
もしバッテリー上がりになったら
もしバッテリー上がりになったら、ガソリン車と同じようにハイブリッド車もジャンピングスタートが利用できます。
ジャンピングスタート(ジャンプスターターとも言う)とは、別の1台からバッテリーの電力を少し分けてもらう方法になります。
条件としては2台とも同じバッテリー電圧で、ブースターケーブルがあれば接続できます。
トラックなどは24Vですが、普通乗用車なら12Vなので電圧は一致するので大丈夫です。
ハイブリッド車のプリウスやアクアは補機バッテリーがトランクルームや後部座席の下などに設置されていますが、ジャンピングスタート用にエンジンルームから給電できるようになっています。
フィットハイブリッドなどはエンジンルームに補機バッテリーがあります。
駆動用バッテリーの寿命
駆動用バッテリーは走行のためのバッテリーで、200V以上の高電圧電池です。(HVバッテリーやメインバッテリーとも呼ばれます。)
常時このバッテリーからの電力を使って車は走行し、ブレーキの度に回生充電を行い電力を補っています。
この駆動用バッテリーの寿命は、メーカー保証によると10年または走行距離5万kmとなります。
通常の買い替えまではバッテリーが壊れない設計になっているので安心です。
寿命は進化している
駆動用バッテリーの寿命は、年々伸びています。
ある車買取店で10万km走った車の駆動用バッテリーを調査したところ、初代プリウスでは100台中5、6台に異常が出ていましたが、3代目と4代目プリウスでは0台となっていました。
最新のプリウスは20万km以上でようやくトラブルが出始める結果が出ているので、最新の駆動用バッテリーの寿命は20万kmくらいと考えてよさそうです。
駆動用バッテリーの価格
万一駆動用バッテリーが劣化して交換する場合は、50万円前後となっていて非常に高価になります。
また高電圧電池であることから、メーカーはセルフでの交換は推奨していません。もし交換が必要になってもディーラーにお任せしましょう。
ただこれからハイブリッド車を新車で購入する場合は、長寿命になっているので交換するケースはほとんどないと思われます。
駆動用バッテリーが上がることも
駆動用バッテリーは大容量のため電気は豊富に溜め込まれていますが、3ヶ月以上など車を放置すると駆動用バッテリーでも空になってしまいます。
補機バッテリーと同じく、空になると劣化が進んで寿命が短くなるため、なるべく長期保管する場合は家族や知人に頼んで時々走らせてもらうようにしましょう。
リチウムとニッケル水素
駆動用バッテリーには、リチウムイオンとニッケル水素の2種類がります。
リチウムイオンは容量の割に体積が小さく軽いという特徴があります。デメリットは高コストであることです。
ニッケル水素は昔から充電池などで知られている電池で、バッテリー性能はリチウムイオンに劣りますが、安価というメリットがあります。
気温が低い寒冷地の場合、ニッケル水素なら急なバッテリー切れが起きにくく、ゆるやかにバッテリー0へ向かっていきます。
近年は多くのハイブリッド車がリチウムイオンのバッテリーを使用していますが唯一トヨタは車種によってニッケル水素も使用しています。
まとめ
- ハイブリッド車には2種類のバッテリー
- 補機バッテリーはガソリン車のバッテリーと同じ役割
- 駆動用バッテリーは約20年の寿命
- 補機バッテリーは劣化を抑えよう