ジェムソンは、アイリッシュ・ディスティラーズ社で製造されているアイリッシュ・ウイスキーです。早くから国際的に名声を博した銘柄です。

1786年、実業家ジョン・ジェムソンは元々ウイスキーを造酒を行っていたスタイン家の人々から、ボウ・ストリート蒸留所を買い取ります。

そして自身の名をつけたウイスキーを売り出し始めましたが、ジェムソンの手腕は傑出しており、わずかな期間でこの蒸留所を国内一位に押し上げます。

のみならず、十九世紀初頭には世界でももっともヒットしたブランドにまで数えられるほどの成功を示しますが、やがて衰退していきました。

これには様々な理由があります。アメリカやカナダでも質の高いウイスキーが造られるようになったことも、輸出には大きく影響しました。

また、十九世紀中頃からアメリカやアイルランドなどで流行しだした禁酒運動も、飲酒欲に強烈に水を差すことになります。

加えて、イギリスから独立しようという機運が高まってきて、両国関係が難しくなったことで、イギリスへの輸出も難しくなっていきました。

しかも苦境が続く中、ついにアメリカで禁酒法が成立することに。

国境を接したカナダはむしろ密輸で儲けましたが、監視の厳しい海路で、しかも大西洋を渡るというのはかなり厳しい選択でした。

こうした状況が重なりに重なり、アイリッシュ・ウイスキーは壊滅的な状況に至りました。もちろん、ジェムソンも例外ではありません。

しかし、一度は世界を制したと言えるほどのブランドであり、近年のアイリッシュ・ウイスキーブームにより見事に復活を果たしています。

その製法は今も昔と変わらぬ極めて伝統的なもので、スコッチとは対照的にピートをまったく使わないスタイルを取っています。

加えて簡素な単式蒸留器で三度もの蒸留をかけるというスタイルも旧来通りですので、匂いとクセがなく、風味だけを楽しめる性質となっています。

故に今日では若者を中心に人気が復活してきており、様々な魅力的な試みも行われるなど、斬新さも出してきている印象があります。

微妙な香りや味を楽しめる造りになっていますので、日本酒を味わうように、日本でも人気が出てくるかも知れません。

買取価格としては300円ほどになっています。

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