修復歴イメージ

車を売る場合、修復歴・事故歴がある車の場合は査定時に減額されることになります。

「軽い事故はあったがこれは修復歴になる?」

「修理をしたら査定でいくら減額されるの?」

など修復歴についてはわかりにくいところがあります。

このページでは、修復歴・事故歴はどんなものか、そして査定時にいくら値段が下がるのかを解説しています。

修復歴ありとは?

査定の際には、「修復歴あり・なし」という言い方をします。

修復歴とは、この図のような車の骨格部分が破損し、修復したり交換することをいいます。

車の骨格部分

各部名称
1.フレーム (サイドメンバー)
2.クロスメンバー
3.インサイドパネル
4.ピラー
5.ダッシュパネル
6.ルーフパネル
7.フロア
8.トランクフロア

この骨格部分の修理がなければ、ぶつけて修理していても「修復歴なし」となります。

修復歴ありの例

修復歴あり

激しく衝突し、バンパーが大きく破損しています。フロントにあるクロスメンバーの修理となり、これは「修復歴あり」となります。

このような大きな破損でなくても、ボコっと一箇所が凹んだ際に、中の骨格部分も凹んでしまうと、「修復歴あり」になります。

基本は大きな事故になりますが、軽い事故でも該当することがあります。

修復歴なしの例

修復歴なし

このような擦った程度のケースでは全く該当しません。「修復歴なし」になります。

またバンパー交換、ボンネット修理、ライト交換、ドアの交換、ドアの凹み修理なども「修復歴なし」になります。

バンパーやドアの交換をしても「修復歴なし」です。あくまで骨格部分が破損したかどうかがポイントになります。

しかし側面からの軽い衝突で、ドアの凹みだけでなく骨格部分のピラーも同時に凹んだ場合は、「修復歴あり」となります。

このように素人目には「あり・なし」の区別がつきにくいこともよくあります。

事故車=修復歴ありではない

ややこしくてよく間違えやすいのが、事故車=修復歴ありではない、ということです。

上で説明したように、事故をしても修復歴ありとなしのケースに分かれるのです。

  • 事故車:事故をしたことのある車
  • 修復歴あり:事故により骨格部分を修理した車
  • 修復歴なし:事故をしたが骨格部分まで修理していない車

正確に言うと、買取業者による査定の場では「事故車」という言葉は使いません。事故経験があるかどうかではなく、修復歴の有り無しで査定を行います。

知識があると査定に役立つ

買取業者やディーラーの査定士には「事故車」という言葉はないのですが、実は「修復歴なし」に該当する修理でも「事故車」という表現を使うケースがあります。

査定士が一般ユーザーに「事故車です」と伝えれば、ユーザーは買取価格が減額されても仕方ない、と思う気持ちを利用して買取価格を低くできるからです。

しかしユーザーが、

「事故車ですが骨格部分までは修理していませんよ」

と言えば査定士はごまかしは通用しないと気づき、不要な減額を防ぐことができます。

このように知識をつけることで、査定交渉を上手く進めることができます。

修復歴ありはいくら価値が下がる?

修復歴ありと判断されると、査定時の価値はいくら下がるのでしょうか?

一般的には20%~30%の減額になります。

実際にマイナスされる金額は、車の年式によって変わります。

例えば日産「セレナ」(新車価格250万円~)を参考に、通常の査定額と修復歴ありの場合の査定額をご紹介します。

■日産「セレナ」
<3年落ち・走行距離2万km>
修復歴なし 約140万円
修復歴あり 100万円~110万円
■日産「セレナ」
<5年落ち・走行距離5万km>
修復歴なし 約100万円
修復歴あり 70万円~80万円
■日産「セレナ」
<10年落ち・走行距離10万km>
修復歴なし 約5万円
修復歴あり 4万円~5万円

この表からわかるように、「修復歴あり」の買取価格は年式が古くなるほど減額も少なくなります。

新車に近いほど、「修復歴あり」となってしまうと売却する際のダメージが大きくなります。

査定士には正直に伝えよう

車を売却する場合、査定士が車を鑑定します。

しかし部位や修理内容によっては査定士でも「修復歴あり」とすぐに気づかないことがあります。

もしそこでユーザーが「修復歴あり」を伝えないと、買取業者が工場に車を持ち帰ってから修復歴ありと判明し、大きなトラブルになってしまいます。

査定の際には修復歴の有無について正確に伝えておきましょう。

評価損を知っておこう

新車ほど「修復歴あり」の判定をされると減額が大きいことがわかりました。

「交差点で自分に非がない衝突をされ、フレーム部分を修理した」

このような場合は概ね9対1で加害者の過失となり、被害者の車は価値を大きく下げることになります。10年落ちならともかく、新車なら影響は大きくなります。

もし新車なら、修理をしてから車を売却する場合は何十万円も査定額が下がることになります。

この査定額の減額分を評価損といいます。

事故減価額証明書とは

交渉次第ですが、この評価損は加害者の保険会社に賠償してもらうことができます。

そのためには「事故減価額証明書」が必要になります。

「事故減価額証明書」はJAAI(日本自動車査定協会)の査定士に実際に車を診断してもらい、事故減価額を算定してもらうことで発行されます。

保険会社としては余分な補償は避けたいため、全てのケースで評価損まで補償してくれるかはわかりません。

しかし被害者としてはできるだけ「事故減価額証明書」を提出して減額する査定額を請求しておきましょう。

この「事故減価額証明書」の発行には条件があるのでまとめておきます。

  1. 骨格部分の修理が必要な「修復歴あり」の車であること
  2. 過失割合がほぼ相手方にあること
  3. 修理が完了していること

返ってくる評価損の額は?

「事故減価額証明書」が認められ評価損の金額が返ってくる場合、決定した金額に過失割合が加味されます。

9対1の場合、評価損が50万円だと9割の45万円が返金されることになります。10対0なら表記の50万円が返金されます。

まとめ

  1. 修復歴ありは骨格部分の修理歴のこと
  2. 骨格部分を修理していなければ修復歴なし
  3. 修復歴ありだと価値は70~80%となる
  4. 査定士には正直に伝えよう

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