<2018年2月> ※2018年9月追記
一眼レフ市場にミラーレス一眼が登場して約10年になります。
現在でも人気機種ランキングではミラーレス機が上位に入っているほど、定番のカメラとなりました。
ここでミラーレス一眼の登場から現行機種までの進化を振り返ってみたいと思います。
どれだけ性能がアップしているのか、またこの先のミラーレス一眼はどのように進化していくのか予想してみました。
ミラーレス一眼の登場まで
昔の話まで振り返りますが、まずデジタル一眼レフが登場したのは1995年になります。
初代機はキヤノン「EOS DCS3」で、撮像素子はAPS-Cサイズに近いCCDで画素数は130万画素、価格は約200万円です。今では信じられない画素数と価格ですね(笑)
また同時に初の手振れ補正機能がレンズに搭載され、こちらも一眼レフ史上初の技術でした。
1999年にはニコンから「ニコン D1」が発売されます。
この「ニコン D1」は一般ユーザーにも使いやすく人気で、価格は65万円と高価でしたがこの機種をきっかけにデジタル一眼が本格的に広まっていきます。
2002年にはキヤノンが「EOS-1Ds」で初のフルサイズセンサー機を発表します。ただ当時のフルサイズ機はまだ3桁の価格だったので、一般ユーザー向けではありませんでした。
2003年はキヤノンが「EOS Kiss Digital」を発表し、コンパクトボディでカメラ初心者でも使える機種として大ヒットになりました。
2004年初のライブビュー機が登場
2004年、オリンパスからライブビュー機能がついた一眼レフ「E-330」が登場します。
「E-330」はレフ板のある一眼レフですが、コンパクトカメラのように液晶画面を見ながらでも撮影をすることができます。
当時の一眼レフはCCDの加熱問題がありコンパクトカメラのようなライブビュー表示が難しかったのですが、この機種でようやく可能になりました。
ミラーレス一眼のきっかけともなる1台だったといえます。このライブビュー機能はオリンパスの後継機一眼レフ「E-410」「E-520」へと引き継がれます。まだこの頃のライブビューはAFが遅く素早い撮影には向いていませんでした。
オリンパス以外のAPS-C機でもライブビュー対応のモデルが次々に登場します。2007年にニコン「D300」、2008年にキヤノン「D50」「Kiss X2」などが市場で人気となります。
2008年にはデジタル一眼レフで初となるフルHD動画撮影+ライブビュー撮影に対応した、「EOS 5D Mark II」が発売されたことも話題になりました。
一眼レフ市場では、2005年に一般ユーザー向け価格になった35mmフルサイズのデジタル一眼「EOS 5D」がキヤノンから登場します。価格は30万円台と安く、ここから他社も追随してフルサイズCMOSセンサーを搭載した一眼レフが次々と発表されていきます。
2008年初代ミラーレス一眼が登場
2008年、フォーサーズの新規格として「マイクロフォーサーズ」が発表されました。
センサーの発表だけでなく、センサーサイズを維持しながらボディとレンズを小型化した画期的なミラーレス一眼「DMC-G1」が登場します。
それまでもオリンパスが大きな一眼レフとコンパクトカメラの中間を埋めるようなフォーサーズ規格の一眼レフを発売していましたが、このモデルによってさらに小型化が進むことになります。
EVFの倍率は約0.7倍(35mm判換算)と広く、それまでフォーサーズの一眼レフでファインダー像が小さかった欠点が解消されました。
オートフォーカス方式は一眼レフのような位相差AFではなくコントラストAFでしたが、合焦スピードが速くベテランユーザーにも受け入れられる性能でした。
この「DMC-G1」をきっかけに、次々とミラーレス一眼が発売されることになります。
2009年~2012年 各社が市場に参入
2009年はオリンパスから初のミラーレス一眼「ペン E-P1」が発売されます。
このペンシリーズの由来は、1959年から発売されたハーフサイズのコンパクト一眼「オリンパスペン」からきています。
デザインにもレトロさがあり、オリンパスの歴史を感じるモデルでした。
ファインダーはありませんが、シンプルな操作性とデザインで女性にも人気があり、現在でも売れ筋のシリーズとなっています。
2010年にはマイクロフォーサーズではなく初のAPS-Cセンサーを搭載したミラーレス一眼がソニーから発売されます。
「NEX-3」と「NEX-5」はフランジバック長が18mmという非常に薄いボディのミラーレス一眼となりました。
それまでソニーは2006年にコニカミノルタのカメラ事業を引き継ぎAマウントのカメラを発売してきましたが、このミラーレス一眼から新たにEマウントを加えました。
現在ではこのEマウントがソニー機の主力となっていて、2013年にはフルサイズのミラーレス一眼も登場しています。
2011年はニコンがコンパクトカメラに近いサイズのミラーレス一眼「ニコン1」シリーズを発売します。
このカメラはセンサーサイズが1型のため画質面でもコンデジと一眼の中間に位置するカメラになります。
2012年は富士フィルム、キヤノン、ペンタックスと立て続けにミラーレス市場へ参入し、各社機種が出揃うようになりました。
キヤノン「EOS M」は新たなEF-Mマウントを採用し、マウントアダプターを使用することでそれまでのキヤノンのレンズ資産を活かせるシステムになっています。
この頃になると中級機も登場し、オリンパス「OM-D E-M5」は防塵防滴+5軸手振れ補正を備え、高機能化が進んでいきます。
2013年~ 高級モデルも登場
2013年に入るとミラーレス一眼はすっかり一眼カメラとして定着し、メーカーは高級モデルに力を入れます。
(高級路線としては2012年に富士フィルムが 「X-Pro1」を発売しています)
オリンパスからはフラッグシップモデル「OM-D E-M1」が発売されます。
「OM-D E-M1」は初のコントラストAFと像面位相差AFを組み合わせたハイブリッドAFを実現し、防塵防滴+5軸手振れ補正を備え大型のファインダーでプロ仕様のミラーレス一眼となりました。
像面位相差AFを搭載した機種はその後キヤノン・ソニーからも発売されます。
2013年、ソニーは35mmフルサイズセンサーを搭載した初のミラーレス機「α7」「α7R」を発売し、画期的な小型フルサイズ機として注目が集まりました。
ソニーのEマウントフルサイズ機はその後もシリーズ化されます。2014年には敢えて画素数を落とした「α7S」、2015年には高画素数の「α7R II」などが発売されました。
また2014年頃からエントリー機でもラインナップが充実してきます。
2014年、オリンパスのOM-Dシリーズにエントリーモデル「E-M10」が登場し、ペンシリーズと並んで人気モデルとなります。
2015年はパナソニックから高機能ミラーレス「ルミックスDMC-GX8」が登場し、ボディ側で4軸補正+レンズ側2軸の合わせて6軸コントロールという世界初の手振れ補正を備えました。
2016年~ 動体撮影にも対応
それまでミラーレスはコントラストAFのため、野鳥やレース撮影など速い動きの被写体には弱いとされてきました。しかしこの年から動体撮影に適したミラーレス機が登場します。
オリンパスの「OM-D E-M1 MarkII」、ソニーの「α6500」はプロも評価するほどの高い追従性能を実現します。連写時の像消失時間(ブラックアウト)も限りなく抑えられ、一眼レフのように動体撮影を行うことができるようになりました。
2017年にはソニーがフルサイズのフラッグシップ機としてプロ・ハイアマチュア向けの「α9」を発売します。この機種も連写に強く、「α9」はブラックアウトなしで20コマ/秒が可能となっています。
富士フィルム「X-T2」も従来のミラーレスよりも追従性能が上がっていて、動く被写体を撮影するのに適しています。
2016年はそれまでミラーレス機でのAF速度の遅さが指摘されていたキヤノンが「デュアルピクセルCMOS AF」を搭載し、高速オートフォーカスを実現しました。
「M5」「M6」「M100」、そして2018年2月、一眼レフブランドのKissシリーズが遂にミラーレス化して「Kiss M」となり話題になりました。
この頃になるとミラーレス全体が底上げされて高機能化しますが、ボディサイズも以前に比べて少しずつ大きく重くなっていきます。
2018年~ フルサイズミラーレス一眼が充実
2018年2月、ソニーから「α7 III」が発売されました。「α9」のような高性能追従AFに加えて高感度画質を向上させ、しかも20万円台という低価格のため話題となりました。
一方、ニコンは2018年8月に初のフルサイズミラーレス一眼「Z6」「Z7」を発売しました。新マウント「Zマウント」を開発し、対応した「NIKKOR Z」レンズも発売されました。
新マウントということでレンズラインナップはまだ少ないですが、今後に期待が高まっています。
動画に強いモデルも
2017年にはパナソニック「GH5」が世界初となる4K/60p動画撮影対応モデルとなりました。
様々な動画記録形式が用意されていて、プロの映像現場でも使用できるスペックになっています。
ソニーの「α6500」は新たに開発したビデオフォーマット「XAVC」の記録に対応し、4KだけでなくフルHDでも綺麗な画質を実現しています。
課題もあり
以前に比べて使いやすさが進化してきたミラーレス一眼ですが、一眼レフと比較するとまだデメリットも残っています。
常にライブビュー表示をしているため(ファインダー映像も同様)消費電力が大きく、バッテリーは多くの機種で300枚程度しか撮れません。
(ソニー「α7 III」などバッテリー容量を増やして600枚程度撮影できる機種もあります)
そのため1日中撮影するなら予備バッテリーは必須になります。撮影枚数によっては3個持ち歩くという人もいて持ち運びの重量が増してしまいます。
この撮影枚数問題は、大容量(その変わり重量アップ)にしない限り解消は難しいでしょう。
連写時のブラックアウトもミラーレスの大きな問題でしたが、現在はソニー「α6500 / α6300」や「α9」、オリンパス「OM-D E-M1 MarkII」など連写がしやすく改良された上位モデルが発売されています。
下位モデルではまだ連写は得意ではありませんが、今後少しずつ改善していくでしょう。
まとめ
- ミラーレスも高機能がラインナップ
- 上級者向けのフルサイズミラーレスも魅力
- 動体撮影機能も向上
- 今後も新たなミラーレス機が登場する予定