D3400vsD5600イメージ

ニコンのエントリークラスの一眼レフにはD3400D5600がラインナップされています。

しかし性能の違いがわかりにくく、迷いやすい両機でもあります。

どちらも入門機ですが、D5600は多機能・D3400は価格が安いというメリットがあります。

このページではさらに詳しく機能や画質の違いを解説し、最後に比較表でまとめてあります。

購入を検討している人は参考にしてみてください。

外観

d3400d5600

価格

両機の実売価格は2018年3月時点でこのようになっています。

  • D3400ダブルズームキット:55,000~60,000円
  • D5600ダブルズームキット:85,000円

D3400は定価が2万円ほど安く、販売開始後に下がり始めました。

他社のエントリー機と比較してもダブルズームキットでこの値段は安いと思います。

結論:価格はD3400の方が安い

操作ボタン配置

画像で比較するとわかるように、特に背面のボタン配置が大きく違っています。

  • D3400は左側にメニュー・再生・拡大縮小・「i」ボタン
  • D5600は左上にメニューボタンがある以外は右側に集中
  • 両機ともに前面左側にファンクションボタンあり
  • D5600は前面左下にドライブモードボタンあり

D3400はニコン伝統の左右に分かれたボタン配置ですが、D5000番シリーズは右手だけで基本操作ができる配置が採用されています。

どちらがよいか優劣はつきませんが、好みで選ぶとよさそうです。

なおD5600はタッチ操作が可能なので、右下に画像の拡大・縮小ボタンがありますがタッチ操作でも拡大・縮小ができます。

結論:操作ボタンはD3400は標準配置、D5600は右側寄り

持ちやすさ

持ちやすさには個人差があると思いますが、D5600のグリップ部分は指が深くかかるように設計されています。

ネット上の口コミや評判ではこのグリップに好意的なようです。

筆者の感想でもD5600の方がしっかり握れる印象でした。しかしD3400は一般的なグリップなので悪いというわけではありません。

結論:D5600のグリップは深くて持ちやすい

外装

外装や見た目としては、D3400はややチープで、D5600の方が高級感が出ています。
特にダイヤル周りは質感に差があるように感じます。

外装の高級感

結論:外装はD5600の方が高級感がある

画質

D3400とD5600のセンサー性能については、DxO社の測定データが参考になります。

d3400センサースコア

どちらもエントリー一眼としては優秀な数値で、色深度・ダイナミックレンジ・高感度画質(同社の許容感度)ともに高い数値が出ています。

高感度画質に差がありますが、この差であれば実際の画質を見てもほとんどわからないレベルだと思います。

なお画質はレンズの影響も大きいですが、両機に付属のキットレンズ「AF-P DX NIKKOR 18-55mm f/3.5-5.6G VR」は低価格レンズとしては解像力が高いです。

結論:どちらも優秀なセンサー性能
ワンポイント解説

色深度:
数値が大きいほど微妙な色合いを表現できます。

ダイナミックレンジ:
数値が大きいほど明るい部分の白トビ、暗い部分の黒つぶれを抑えて見た目に近い状態で写します。

高感度画質:
ISOを上げるほど高感度になります。高感度では画像にノイズが入るなど画質低下が起きますが、この測定データではDxO社が許容できるISO数値となっています。

高感度(ISO感度)の解説はこちら

シャッター音

同じ標準ズームレンズでシャッター音を聞きくらべましたが、ほとんど差はありませんでした。

店頭の実機ではD3400がやや金属音を感じるシャッター音になることもありましたが、個体差かもしれません。

エントリークラスですが安っぽい音にはなっておらず、ニコンの音らしさがあり好感が持てます。

結論:どちらもニコンらしいシャッター音

液晶モニター

  • D3400:3インチ・約92万ドット
  • D5600:3.2インチ・約104万ドット

液晶モニターはD5600が僅かに大きくなっています。

さらに違うポイントはD5600はバリアングル液晶モニターとなっていて、液晶モニターを左に開いた後、上下に自由に角度を変えることができます。

またタッチパネル式のため、指で触れるとシャッターが切れるタッチシャッターが使えたり、設定をタッチで選択したり、写真の再生拡大なども指で操作できて初心者にも便利です。

バリアングル液晶モニター

結論:D5600はバリアングル式液晶でタッチ操作が可能

ファインダー

ファインダー倍率はこのようになります。

  • D3400:約0.85倍(35mm判換算で約0.566倍)
  • D5600:約0.82倍(35mm判換算で約0.546倍)
結論:ファインダー倍率はD3400が僅かに大きい
ファインダー倍率とは

ファインダー倍率は見える景色の大きさになります。もちろん大きい方が見やすく、上位機ほど広くて見やすいファインダーになっています。

ファインダー倍率についての解説はこちら

ファインダー内表示

ファインダー内の表示は両機で少し違いがあります。

まず情報表示の文字ですが、D5600の方が若干暗く見えます。ニコンに確認したところ、若干暗くなっているのは仕様だそうです。

他の機種と比べても、D5600はわずかに暗いことが確認できました。ファインダー内の文字は日当たりのよい屋外では見にくくなるので明るい方がよいのです。

ただ口コミで屋外ではファインダー内の文字が見えにくいという書き込みはないようなので、特に問題はないのかもしれません。でもそこまで消費電力を使わないと思われるので一般的な明るさでもよかったと思います。

もう1点、D3400は機能制限が多いのですが、その中の一つにISO数値をファインダー内に表示させることができません(D5600は設定をすれば表示可能)。

D3400だとファインダーを覗きながらISOの変更操作をすると、ファインダー内で一時的に数値が表示されますが、決定すると消える仕組みになっています。

どちらも撮影に大きな支障はないのですが、上位機や他メーカーの一眼レフに比べて少し欠点があると思います。

結論:ファインダー内表示は両機とも欠点あり

AF測距点

測距点

  • D3400:11点
  • D5600:39点(中央9点がクロスタイプ)

どちらの機種も上位機のような高い追従性能はありませんが、D5600は測距点が39点で9点のクロスタイプセンサーがあるため、中央付近では被写体を追う能力はD5600が高くなっています。

小さい子供が公園で走る程度や運動会くらいの用途であればこのクラスでも十分対応できそうです。

結論:追従性能はD5600の方が有利
測距点とは

ファインダー内に見えている多数のポイントのことを言います。カメラはその測距点でしかピントを合わせることができないため、数は多く範囲が広いほどピントを合わせやすくなります。ただ速い動きにピントを合わせ続ける追従性能とは似ているようで異なる性能になります。

連写

連写性能については、連続撮影速度と連続撮影枚数があります。

連続撮影速度は両機ともに「最高約5コマ/秒」となっています。

1秒間に5枚というのはエントリー一眼としては標準的な性能になります。現行のモデルとしては遅いスピードになりますが、レースや野鳥などの一瞬を切り取るような撮影をしなければこの速度でも十分でしょう。

連続撮影枚数(何枚まで連写を継続できるか)は、D5600は仕様表にJPEG100枚(95MB/s UHS-I対応カード使用時)と掲載されています。

エントリークラスでは連続撮影枚数は20~30枚というモデルも多いため、100枚まで対応しているのは高い性能になります。

一方D3400は仕様表に連続撮影枚数を掲載していませんでした。そのため筆者が実際にD3400の連続撮影枚数を試してみました。

95MB/s UHS-I対応カードを使用した場合、連続撮影は99枚でストップしました。(設定はJPEG最高画質、シャッタースピード1/200程度、ISO100)

このテストの結果から、D5600の連続撮影枚数と大差はないようです。

なお、SDカードの書き込み速度が少し遅い40MB/s UHS-I対応カードでも試してみましたが、連写は23枚でストップしました。

撮影環境によってはもっと早い段階でストップしたり、連写速度が落ちる可能性もあるので、使用するSDカードは書き込み速度が高速なタイプをおすすめします。

結論:連写性能はおそらく互角

スマートフォンとの連携

SnapBridge

両機ともニコン専用アプリ「SnapBridge」に対応していて、カメラで撮影した写真をスマートフォンへ転送できます。
(「SnapBridge」はVer.2.0でアプリがリニューアルされて使いやすくなっています)

専用アプリ「SnapBridge」

  • D3400:Bluetooth接続
  • D5600:Wi-Fi・Bluetooth接続

D3400はBluetoothのみの対応のため、写真の転送速度が遅いです。

170万画素転送なら数秒で転送できますが、2400画素で転送すると1枚1分程度かかるため大量転送には向いていません。

D5600ならWi-Fiを使用するため短時間でサクサクと転送できます。(Wi-Fi転送時はバッテリー消費が大きくなります)

またD5600はWi-Fiを利用してスマートフォンからリモート操作でシャッターを切ることができます。(D3400は不可)

結論:Wi-Fiが使えるD5600が便利

リモート操作

レリーズ

夜景や花火撮影を行う場合はシャッタースピードが非常に遅くなるため、ボディに指が触れるだけでも写真がブレてしまいます。

そこでリモート操作による撮影を行います。このリモート操作はD5600とD3400で大きく異なります。

まずD5600は、スマホでの遠隔シャッターは可能ですが、赤外線リモコンML-L3は非対応です。(D5600本体に赤外線受光部がついていません)

D5600はレリーズケーブルMC-DC2は接続できるので、有線でのリモート操作は可能です。

そのためD5600のリモート操作は、スマホかレリーズケーブルで行うことになります。

一方D3400は、スマホでの遠隔シャッターやレリーズケーブルには非対応です。(レリーズケーブルの差込口がついていません)

しかしD3400は赤外線リモコンML-L3に対応しています。

(ただ赤外線受光部は前面のみにしかないため、リモコンでの撮影は右横や真上からリモコンを向けてシャッターを切ることになります。)

いずれにしてもリモート操作は両機でできるので、この違いでどちらかを購入するポイントにはならないと思いますが、購入後のために前もって把握しておくとよいでしょう。

結論:両機でリモート操作が異なる

撮影可能枚数

両機とも同じバッテリーEN-EL14aを使用していて、撮影可能枚数はこのようになっています。

  • D3400:約1200枚
  • D5600:約970枚

(ライブビュー撮影の場合は消費電力が大きいため300枚程度となります)

どちらも省電力設計のため、1230mAhという容量の割に多くの枚数が撮影できます。ただD3400の方が省電力化が進んでいるようです。

この枚数はCIPA規格というカメラ映像機器工業会の測定によるもので、通常の使用方法を元に測定された枚数となっています。

ただ撮影した写真の削除や動画撮影はバッテリー消費が大きく、撮影枚数が減ってしまうので注意しながら使用するのがバッテリーを長持ちさせるポイントです。

結論:大差はないがD3400が一歩リード

機能

最も大きな違いは機能面になります。一覧でまとめてみました。

D5600のみで使える機能

  • Wi-Fi
  • センサークリーニング
  • AEブラケット
  • レリーズケーブル対応
  • 外部マイク入力
  • ステレオ録音
  • タッチパネル
  • ファインダー内ISO数値の表示(設定要)

一方、D3400はこれらの機能は使えません。

D3400では写真転送はBluetoothのみ、センサーのクリーニング機能無し、動画撮影の音声はモノラル、レリーズケーブルの差し込み端子無し、明るさを変えての自動撮影AEブラケットは不可、ファインダー内にISO数値が出ない、となります。

結論:機能面ではD5600が優れている

両機に共通のメリット

新型レンズが高性能

AF-Pレンズ

D3400・D5600ともに新型のAF-Pレンズに対応しています。

  • AF-P DX NIKKOR 18-55mm f/3.5-5.6G VR
  • AF-P DX NIKKOR 70-300mm f/4.5-6.3G ED VR

このAF-Pレンズはステッピングモーターを採用し、静かで高速なAFを実現しています。

ライブビューAFも高速で、動画撮影時にAF音が録音されることもありません。

またAF-P DX NIKKOR 70-300mm f/4.5-6.3G ED VRは300mmの焦点距離ですが、手ブレ補正効果4.0段を備え重量415gと軽量で扱いやすくなっています。

画質面でも2本とも解像力があり、エントリー機のレンズとしては十分な高画質となっています。

ボディが小型・軽量

  • D3400:445g(バッテリー・SDカード込)
  • D5600:465g(バッテリー・SDカード込)

両機ともボディ重量は約450gと一眼レフとしてはかなり軽量化され、初心者や女性でも扱いやすくなっています。

近年はミラーレス機でもボディが400gを超える機種が増えていて、エントリー一眼とミラーレスの重量の差が縮まっています。

ニコンはマウントが比較的小さくレンズを小型化しやすいため、キヤノンやソニーよりも小型化しやすいメリットもあります。

「D3400」と「D5600」のスペック比較表

※性能の高い方を青文字で表示しています

機種名 D3400 D5600
発売時期 2016年9月16日 2016年11月25日
マウント ニコンFマウント
(AF接点付)
イメージセンサー APS-C
画像処理エンジン EXPEED 4
画素数 2416万画素
ISO感度 100~25600
AFエリア 11点 39点
(中央9点がクロスタイプ)
シャッタースピード 1/4000~30秒
電子シャッター
連続撮影枚数 最高約5コマ/秒
手ブレ補正 ボディ側無し(レンズ側補正)
動画 フルHD(60P)
動画タイムラプス
マイク モノラル ステレオ
液晶モニタータイプ 固定式液晶 バリアングル式
タッチパネル液晶
液晶モニター画素数 3インチ
(約92万ドット)
3.2インチ
(約104万ドット)
防塵防滴仕様
AF測距検出範囲 -1~19EV
測光範囲 0~20EV
内蔵フラッシュ
電子水準器
ガイドモード
別売リモートケーブル対応 ○(MC-DC2に対応)
別売リモコン対応 ○(ML-L3に対応)
セルフタイマー 2、5、10、20秒
通信方法 Wi-Fi Wi-Fi・Bluetooth
124mm 124mm
高さ 98mm 97mm
奥行き 75.5mm 70mm
重さ(バッテリー、メモリーカード含む) 約445g 約465g
撮影可能枚数 約1200コマ 約970コマ
バッテリーパック EN-EL14a

D3400とD5600どちらがおすすめ?

ここまでご紹介したように、D3400とD5600は画質面は基本的に差はなく機能面で大きな差があります。

D5600はAF測距点が多く、動画性能も上回っています。

おすすめはデメリットの少ないD5600になるでしょう。

ただD3400は値下がりしているので、D5600のみ使える機能があまり重要でない場合はD3400も選択肢に入ると思います。

それぞれのメリット

  1. D5600は多機能・タッチパネルが便利
  2. 画質面はほぼ同じ
  3. D3400は価格が安い
  4. 動画・AF測距点はD5600が有利
D5600
D3400

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