わが子の写真は一生の思い出になる大切なもの。
いい写真を残してあげたいのですが、一眼レフ・ミラーレスを買ったばかりでは子供を可愛く撮るのは難しいものです。
特に室内では光量が足りないためブレ写真の失敗が起きやすくなります。
このページではブレ対策をして上手に撮れる方法や可愛い撮れるテクニックをご紹介しています。
また屋外や運動会で撮る設定もまとめているので参考にしてみてください。
よくある失敗写真
室内での失敗写真で多いのがこのような写真です。
「せっかくかわいい表情だったのにブレ写真になってしまった…」
シャッタースピード不足だとこのような写真になってしまいます。
このような写真にならないためには、どのようにすればよいのでしょうか。
室内で子供を可愛く撮るポイント
絞り優先モードでISO感度を調整する
室内では光量が少ないためシャッタースピードが遅くなり、ブレやすくなります。
ISO感度が低い場合このようなシャッタースピードになっていると思います。
このままではシャッタースピードが1/4秒と遅すぎるのでISO感度を1600に上げてみます。
これでシャッタースピードが1/40秒になりました。
子供がじっとしている状態を50mm(35mm判換算)で撮る場合であれば、しっかり構えればほぼブレずに撮れると思います。
カメラに手ブレ補正機能がついていればさらに成功率は上がります。
ISO感度を上げてシャッタースピードを1/40秒にできましたが、まだこの速度では子供が動いている状態だとブレてしまいます。
ISO感度を3200や6400などに上げてシャッタースピードをさらに速くすることもできますが、高感度になるほど画質は低下してしまいます。
そこでF値を小さくできる明るい単焦点レンズを使う方法があります。
明るい単焦点レンズを使う
入門機のキットレンズは最も小さいF値(開放F値)でF4程度になっています。
しかし単焦点レンズではF1.4やF1.8まで小さくできます。
(このようなF値の小さいレンズを「明るいレンズ」と言います)
F値を小さくすることで光量が増えるためシャッタースピードを速くできるメリットがあります。
例えばキヤノンの単焦点レンズEF 50mm F1.8(35mm判換算で約80mm)を取り付けてF値を小さくしてみます。
モードダイヤルを<絞り優先モード(A)>にしてF4.5だったF値をF1.8に下げると、1/250秒までシャッタースピードが速くなりました。
この速度なら手ブレを防ぐこともできますし、子供が少々動いていてもブレずに写すことができます。
ただF値が小さくなるほどピントが合う奥行き範囲が狭くなります。例えば横顔だと右目はピントが合っていても左目はボケている状態になります。顔全体に広くピントを合わせたい場合はF2.8程度がよいと思います。
F値が小さくなるとボケ味も出るので柔らかい雰囲気の写真に仕上がります。
窓から自然光が入るのがベストですが、室内の照明だけの場合は露出補正をプラスにして明るく撮った方がかわいく写ります。
また背景をぼかすことで、あまり綺麗でないお部屋をごまかすこともできます笑
このように明るいレンズを使うことで様々なメリットがあるので、室内の子供撮影には1本用意しておくのがおすすめです。
フリッカー問題
室内の蛍光灯は見た目では見えないですが高速で明滅しています。
そのためシャッタースピードが速いと、点滅で暗くなった瞬間を捉えてしまうため写真が暗く写ったり、黄色く変色するフリッカー現象が起きやすくなります(インバータタイプの蛍光灯はフリッカー現象は起きません)。
フリッカー現象を防ぐにはシャッタースピードを遅くすることです。1/100秒程度にまで抑えるとほぼ防ぐことができるので、「絞り優先モード」の場合はISO感度を低くしてシャッタースピードが1/100秒程度になるよう調整します。
また「シャッター優先モード」にして1/100秒に設定して撮影を行うことでも回避できます。
カメラによってはフリッカー低減機能がついていますが、筆者の経験ではそれでも発生するケースが多いので、シャッタースピードを調整する方法が最も効果的です。
AFの速さが重要
一瞬の子供の表情を撮るにはカメラのAF速度が非常に重要になります。
「この表情かわいい!」と思ってカメラを向けても、少しでもAFの合焦が遅れるとチャンスを逃してしまうからです。
ソニー・キヤノン・パナソニック・オリンパスなど最新のミラーレスはAFが速くなっています。
一眼レフも各社の入門機はAFが速く改良されています。一眼レフのライブビューに関してもソニーのα6000シリーズ、キヤノンのEOS Kiss X9/X9iや9000D、またニコンのD3500、D5600などは高速AFが可能になっています。
(旧型のレンズやマクロレンズを装着するとAFが遅くなることがあります)
またミラーレスや一眼レフのライブビューは顔認識AFを使用することで、自動的に子供の顔にピントを合わせ続けてくれるので撮影が楽になります。
近年は瞳AFを搭載した機種が増えています。中でもソニーの瞳AFは子供が動いても自動でピントが追いかけてくれます(対象機種:α6400、α7IIIなど)。
屋外で子供を撮影する場合
昼間の公園など明るい屋外で撮影する場合は、室内よりもシャッタースピードが速くなるので手ブレの心配はなくなります。
ただ遊んでいる状態(動いている状態)の被写体ブレを防ぐため、シャッタースピードを速く設定しておきましょう。
シャッター優先モードにして1/500~1/1000秒程度に設定しておくと、ピタリと止まった一瞬を撮ることができます。
(曇りの日は1/500秒では光量不足で写真が暗くなることがあるので、その場合はISO感度を上げて適正な明るさに調整します)
またシャッター優先モードではなく絞り優先モードでも、F値を小さくしたりISOを上げることでシャッタースピードを速くすることができます。
あとは子供が動いているか動いていないかでフォーカスモードを使い分けます。
AF-Sモード
止まっている状態であれば、フォーカスモードはAF-Sモードを使用します。完全に止まっていなくても、ゆっくり歩く程度であればAF-Sでも十分撮影できます。
AF-Sモードのメリットはフォーカスロックを使用できることです。子供にピントを半押しで合わせ、その半押しのまま構図を変えることができます。
このように子供を中心からずらした構図にすることができます。
AF-Cモード(コンティニュアスAF)
動いている状態を撮る場合はフォーカスモードをAF-C(キヤノンでは「サーボAF」)にして撮影します。
このモードでシャッターボタン半押しのままAF枠を動く子供に合わせると、AFエリア範囲内はピントを合わせ続けてくれます。
(このAF-Cモードではピントは固定せず合わせ続けるため、AF-Sで説明したフォーカスロックは使用できなくなります)
ブランコの写真は動きが速いのでAF-Cモードでもカメラのピントが追いつかないことがあります。その場合は次の置きピンを使った撮影が便利です。
まずAF-Sモードにして、ブランコが戻ってきた位置で一度半押ししてピントを合わせます。そしてAFをMF(マニュアルフォーカス)に切り替えます。これでカメラの位置を動かさなければピントは固定状態になります。
あとはブランコが戻ってきたタイミングでシャッターを切ればピントが合った写真が撮れます。連写を使うとベストショットの確率が増えるのでおすすめです。
子供をかわいく撮るテクニック
いつもありきたりな写真になってしまう人は、ちょっとした工夫で個性的な写真にすることができます。
誰でも真似ができるテクニックなので実践してみてください。
子供目線がかわいい
子供を上手く撮るコツとして目線を合わせる方法があります。
子供の自然な目線が撮れるので、かわいさがアップした写真が撮れます。
ファインダーでは低い姿勢は難しいですが、ライブビューを使うと低い位置からでも撮影しやすくなります。
さらにカメラが可動式液晶モニター+タッチシャッター対応であれば簡単に撮影ができるのでおすすめです。
連写モードを使う
子供は一瞬でいろんな表情をします。
連写で撮影することでいろんな笑顔や泣き顔が撮れたり、笑える表情もたくさん撮れて面白いです。
ただいつも連写しているとSDカードがすぐ満タンになってしまうので、お気に入り写真以外を削除して整理しましょう。
夢中になっている姿を撮る
カメラを向いている写真もかわいいですが、なにかに夢中になっている姿もかわいいものです。
遊んでいるところを何気なく「パシャッ」と撮ってみましょう。
下の写真は先ほど説明したフォーカスロックを使って被写体(子供)の位置を中心からずらしています。
初めてのカメラが楽しいようで、夢中になっています。
これはお箸の練習中です。
ふだん見せるかわいい姿もたくさん撮ってあげたいですね。
露出補正をプラスに
子供や赤ちゃんの写真は露出補正をプラスにして明るめに撮影するのがポイントです。
F値の小さいレンズでボケ味を出して明るくするとふんわりとした雰囲気に仕上がります。
サイレントモードで撮影する
子供によってはカメラのシャッター音を嫌がることがあります。
その場合は無音で撮影ができるサイレントモード機能のある機種がおすすめです。
(照明の暗い室内で発光されるAF補助光が光る場合はAF補助光もオフにしておきます)
ソニー | α6500、α6400、α6300、α7III、α7RIII、α7SII、α9 |
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キヤノン | EOS Kiss M(シーンモードのみ)、EOS R、EOS RP |
ニコン | z7、z6 |
オリンパス | E-M1 Mark II、E-M5 Mark II、E-M10 Mark III(APモードでのみ可)、PEN E-PL9 |
パナソニック | GX7MK3、GX8、G8、GF10など全機種(旧機種も主に対応) |
ペンタックス | KP(ミラーアップ音は発生) |
サイレントシャッターはフリッカー問題(蛍光灯のチラツキによって写真に変色や縞模様が出る問題)が発生しやすくなるので、自然光が入らない蛍光灯下での撮影にはあまり向いていません。
運動会やスポーツシーンを撮る設定
スポーツや運動会の徒競走など子供が動く場面では、望遠レンズを使って動体向けの設定を行います。
特にサッカーやバスケットボールなど激しく動き回るスポーツは動体撮影向けの中級機以上のカメラが適しています。
シャッター優先モード
<シャッター優先モード>を使用し、1/500秒~1/1000秒程度に設定しておきます。
シャッタースピードを速くすることで被写体ブレを防ぎ、一瞬の動きをピタリと止めて写すことができます。
曇りの日は1/500秒では光量不足で写真が暗くなることがあるので、その場合はISO感度を上げて適正な明るさに調整します。
カメラのシーンモードにある「スポーツモード」は細かく設定しなくてよいので楽ですが、AFが固定でないため移動して他の子供に合ってしまったり、ISO感度が高くなり過ぎて画質が落ちる設定で撮影することがあります。
子供の動きに合わせてカメラを動かすと背景が流れた動きのある写真になります。この「流し撮り」をする場合はシャッタースピードを1/100秒以下などに設定します。ただブレやすく難易度は上がります。
AFエリアは中央1点
AFは中央の1点や中央寄りのエリアを選択し、子供の身体(ユニフォームなど)に合わせて追い続けるようにします。
顔認識AFや広いAFエリアも選択できますが、運動会などでは他の子供にAFが移動してしまうことがあるので中央1点や中央寄りの狭い範囲を使うのが無難です。
素早い動きで中央付近だけで合わせるのが難しい場面では広いAFエリアを選択します。
連写
走っている場面や野球でのスイング、サッカーのシュート場面などは連写を使ってベストショットを残すのがおすすめです。
ミラーレス一眼では連写をすると画面がブラックアウトしたりカクカクした映像表示になる機種があります。
AF-Cモード(コンティニュアスAF)
AF-Cモード(キヤノンはサーボAF)にすることで、シャッターボタン半押しのままピントを合わせ続けてくれます。
距離が離れていればエントリークラスの一眼レフでもAFはしっかり追従してくれますが、近い距離で走る子供にAFを追従させる場合は難易度が高いのでカメラの追従性能によって成功率が変わります。
ソニーのミラーレス機「α6400」にはリアルタイムトラッキングという、AIを使った高性能な追尾機能があります。液晶モニターで子供をタッチすると、ピントが自動追尾してくれるので撮影が簡単になります。
ファインダーで撮影する
このような動体撮影ではライブビューよりもファインダーを使った方が構えやすいので子供を追いやすく、日差しで液晶モニターが見辛くなることもありません。
一眼レフや電子ファインダー搭載のミラーレス一眼であればファインダーで撮影しましょう。
動画も撮ろう
写真だけでなく、今の一眼レフやミラーレスは動画ボタンを押すだけで簡単にフルHD動画を撮ることができます。
たまに動画を撮る程度であればどの機種でも大丈夫ですが、動画の頻度が多いのであればカメラの購入時にチェックしておくポイントがあります。
AF性能
一部のモデルでは動画はコントラストAFになるため、子供の動きにAFが追いつかずピント移動が遅れることがあります。
動画でもAFの速いエントリー機をご紹介しておきます。
キヤノンEOS Kiss X9/X9i、EOS M100、ソニーα6500、α6300、α6400、パナソニックGX7MK3などはAFが速くなっています。
もしカメラのピント合わせが遅い場合は、半押しによる手動ピント合わせを使ってカバーします。
タッチパネル・動画手振れ補正
可動式液晶なら低い位置からでも撮れますし、タッチパネル対応ならタッチするだけで簡単に操作できます。また動画中でも手振れ補正が効くかどうかも重要になります。
エントリー機ではキヤノンEOS Kiss X9/X9i、EOS M100、オリンパスOM-D E-M10 Mark III、E-PL9、パナソニックGX7MK3などはタッチパネル対応で手振れ補正があり、使いやすい機種になると思います。
SDカード
動画撮影はデータサイズが大きいため大容量のSDカードが必要になります。
フルHD動画を撮るのであれば、SDカードは「スピードクラス10」以上の書き込み速度があるタイプで、容量は32GB以上あれば安心です。
4K動画対応カメラで4K動画を撮るのであれば、SDカードは「UHS-I」か「UHS-II」対応で転送速度が100MB/s程度のものを選びます。
写真のバックアップはGoogleフォトが便利
いつも写真を撮っていると、何千枚、何万枚という枚数になっていてバックアップや管理が大変ではありませんか?
そんなときはGoogleフォトが便利です。一番の特徴は、容量無制限であることです。
どれだけ写真や動画を入れてもOKなので容量を気にする必要はないですし、撮影日ごとの管理や検索機能も充実しています。数年前に始まったサービスなので、まだ知らない人も多いようです。
パソコンからはGoogleフォトページへアクセスするだけですし、スマホは「Googleフォト」アプリで使うことができます。
無料サービスなので未体験の人は一度試してみてください。
まとめ
- 室内ではISO感度を上げよう
- F値が小さいレンズは必須
- 子供目線や連写も有効
- 動画記録も一眼レフで簡単に撮れる