カナディアンクラブとは、カナダ・オンタリオ州のハイラム・ウォーカーで製造されている、カナディアン・ウイスキーです。日本ではサントリーが販売しています。

1856年、元々ビジネスマンだったハイラム・ウォーカーが、創業して酒造を開始したのがこの銘柄が生まれたきっかけです。

当時、アメリカでは禁酒運動が広がりを見せつつあり、酒造がしづらい状況にありました。またカナダでは粗悪な酒の密造が横行していました。

こうした競合者が力をつけていない状況の中、樽売りが当たり前だった頃に、当時の新技術だった瓶詰め方式で売り出したカナディアンクラブは大当たり。

一躍、カナダの顔的な位置付けとなり、明治維新後の日本にも輸入されることになりますが、先行きに暗雲が立ち込めてもきました。

それは「禁酒法」でした。国境を接しているお得意様だったアメリカがお酒を飲まなくなってしまっては、経営の先行きも一気に見えなくなってしまいます。

しかしカナディアンクラブは、このお酒とお酒好きにとって暗い時代に、かえってシェアを広げ、さらなる評価を得ていくことになりました。

何故かと言うと、「密輸」を行ったからです。多くのカナダの業者は、この禁酒法をチャンスととらえました。

米国内で大っぴらに酒造ができなくなったため、バーに出回るのはせいぜい粗悪な密造酒となり、しかもひっそりと受け渡しがされるのみです。

この状況であれば、上質な正規品であるカナダ産が圧倒するのは当然のことですし、しかも安価なウイスキーに、「密輸品」としての値がつきます。

故にカナダの業者は、陸路を通じて全力で酒を流通させたのです。

米国内では密輸品であるはずのカナディアンクラブの偽物までが横行する始末で、当時の人気がいかに高かったかを物語っています。

その人気の背景である実力を生み出した最大の要因が、「プレ・ブレンディング」と呼ばれる独特のシステムです。

ブレンデッドウイスキーの場合、それぞれの原酒が成熟した状態で混ぜるのが常ですが、カナディアンクラブの場合は蒸留した段階ですぐにブレンドしてしまいます。

こうすることによって、難しくはなるものの熟成過程で微妙な味わいが構築され、より飲みやすい形に仕上がるとのこと。

日本に輸入されているカナディアン・ウイスキーの大多数がカナディアンクラブと言われていますが、こうした努力が活きた結果だと言えるでしょう。

近年は本物志向が進んでいることもあり、ますますシェアを拡大していきそうな雰囲気がありますね。

買取価格としては、「クラシック 12年」が700円ほど、箱付きの「20年」が5,000円ほどになっています。

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