秋が深まると、一眼レフを持ち出して紅葉写真を撮りたくなる時期になります。
しかし見た目は綺麗な紅葉ですが、意外とイメージ通りに撮れない難しさがあります。
その理由は天気の影響を受けることや色の鮮やかさを出す難しさ、構図の決め方が重要になるためです。
このページではそんな紅葉の撮り方を様々なパターンで紹介しています。
撮影テクニックもまとめているので参考にしてみてください。
紅葉を鮮やかに撮るカメラの設定
その1.絞り優先モード
紅葉撮影では<絞り優先モード>を使用し、広い景色を写す場合はAPS-C機ならF5.6~F8、フルサイズ一眼であればF11程度を目安に設定しておきます。
広い風景を撮影する場合、F値は一番小さくしたF値(開放F値)よりも、やや絞った状態の方が写真全体がシャープに写ります。
一方、もみじ1枚を狙って周囲にボケ味を出したい場合はF値を小さく設定します。
カメラにある「風景モード(山のアイコン)」は鮮やかな色合いが設定されていますが、F値や設定のコントロールができないオート撮影となるためここでは絞り優先モードをおすすめしています。
その2.ホワイトバランスを太陽光に
ホワイトバランスはオートでもよいのですが、カメラまかせだと青みがかった写真になる場合があるので、「太陽光」に固定しておきます。
ホワイトバランスを「曇り」にすると黄色い葉を強調するような写真に仕上がります。
(写真全体が少し黄色寄りになるため、緑色の葉は黄緑色に近くなります)
印象的な写真にしたい場面では「曇り」も活用できると思います。
その3.仕上がり設定
カメラの仕上がり設定を風景向きにしておくと、彩度・コントラストが高くなります。
特に曇りの日はコントラストが弱い写真になりやすいので効果的です。
この仕上がり設定の名称は各社で異なっています。
キヤノン | ピクチャースタイル |
---|---|
ニコン | ピクチャーコントロール |
ソニー | クリエイティブスタイル |
オリンパス | ピクチャーモード |
パナソニック | フォトスタイル |
ペンタックス | カスタムイメージ |
この設定の中から、「風景」「ビビッド」など色合いを強くしてくれるものを選択します。
(ソニー機のクリエイティブスタイルには「紅葉」が用意されています)
鮮やかな色が出ている紅葉を「ビビッド」など彩度が高い設定で撮影すると色飽和が起きることがあります。その場合は標準設定で撮影しましょう。
仕上がり設定ではさらに細かく色の微調整ができます。例えば「風景」の彩度・コントラスト・シャープネスの数値を好みで調整することができます。
用意するレンズは広角~望遠
紅葉撮影では広い画角に対応できるズームレンズが便利です。
広角
広角側の28mmでは景色を広く写すことができます。
レンズを上に向けて撮影する構図にも使えます。
標準
標準画角の50mmでは近くにある綺麗な風景を切り取ることができます。
望遠
望遠の200mmでは上の方にあるもみじをアップで写したり、近くから遠くまでの景色を1枚におさめることができます。
ダブルズームキットが便利
エントリークラスの一眼レフの場合、ダブルズームキットが便利です。
標準ズームで30mm~90mm(35mm判換算)、望遠ズームで90mm~300mm(35mm判換算)程度の焦点距離をカバーできます。
ミラーレス一眼の場合は軽量化できるので持ち歩きの負担を軽減することができます。
また広角~中望遠まで1本でカバーできるレンズもおすすめです。
少し重量はありますが、面倒なレンズ交換作業がなくスムーズに撮影を行うことができます。
天候で見え方が変わる
晴天
晴れた日は青空と紅葉を構図に入れることができますが、太陽の方向によって紅葉の見え方が変わります。
順光(撮影者の後ろに太陽がある)は影が少なく空の青色が濃く写ります。
サイド光(撮影者の横に太陽がある)は影ができて立体感が出ます。特に日が落ちる夕方はダイナミックな写真になります。
逆光(撮影者の正面に太陽がある)の場合は広い風景は見えにくくなりますが、光が透けた葉を撮るのには適しています。
■晴天のデメリット
角度によっては日差しが反射して葉が白く写ることがあるので、その場合は位置を変えて撮るか、反射を抑えるPLフィルターを装着して撮影します。
また夕方など日差しが強すぎてイメージ通りに撮れないこともあります。
曇り
曇り空では紅葉の色が安定し、柔らかい印象で写すことができます。
お寺や滝と一緒に紅葉を撮る場合は落ち着いた雰囲気になるため、相性の良い気象条件になります。
■曇り空のデメリット1
撮影場所によってはこの写真のようにコントラストが低くメリハリに欠ける写真になることがあります。
最適な仕上がり設定ではなかったのが原因ですが、一日中撮影していると雲がかかる時間帯もあり難しいものです。
その場合は画像編集ソフトで色合いを修正する方法があります。
ここではパナソニック製カメラに付属の画像編集ソフト「SILKYPIX Developer Studio SE」で補正してみます。
色調整はしていませんが、コントラストを少し高くしただけでメリハリが出て色合いも強くなりました。
このようにイメージ通りの写真でなかった場合はメーカー提供(または市販)の画像編集ソフトを活用できます。
■曇り空のデメリット2
曇り空の部分は写真は白く写るだけなのであまり綺麗ではありません。
構図にあまり曇り空を入れず、紅葉の部分を増やす方が見た目がよくなります。
■曇り空のデメリット3
曇り空ではコントラストが低い環境のためAF精度が落ち、正確にピントが合わない場合があります。
「ピピッ」と合焦音が鳴って撮影しても、このように写真を拡大すると微妙にボヤけていてどこにもピンがきていない写真になることがあります。
こんな場合はライブビューの拡大機能を使ってAF精度を確認して何度も合わせたり、余裕があればMFで合わせる方法を用います。
雨
雨の日は撮影が難しいのですが、紅葉の赤が映えるので落ち葉を狙うと魅力的な写真に仕上がります。
雨上がりのタイミングで撮影するのがおすすめです。
■雨の日のデメリット
言うまでもないことですが、普通の一眼レフ・ミラーレスは雨に濡れると故障してしまいます。
ここ数年は「オリンパスOM-D E-M5 Mark II」「キヤノンEOS 80D」など防塵防滴仕様のカメラがいくつか発売されているので、雨の日に撮影するならこのようなカメラが安心だと思います。
紅葉を綺麗に撮るテクニック
逆光のもみじを撮る
逆光を利用して光が当たったもみじを裏から撮ると透明感のある写真に仕上がります。
この写真は露出補正をプラスにして、AFフレームの中央1点で合わせて半押し(フォーカスロック)のまま構図を整えて撮影しています。
こちらは低い位置にあった赤いもみじを背景の緑色に重ねて撮影しています。
綺麗なもみじを見つけたら、いろんな角度からファインダーを覗いて綺麗な構図を探します。
撮り方に迷った場合は何枚も撮影しておき、その中でベストな写真を残すのもおすすめです。
風景と一緒に撮る
お寺や池、滝などの風景と一緒に写すことで紅葉が引き立てられ、魅力的な写真に仕上がります。
露出補正を活用する
■空が入る場合は露出補正を「+」に
下から見上げて撮る場合、カメラは空の明るさに合わせてしまうため写真が暗くなってしまいます。
このような場合は露出補正をプラスにして撮影します。
プラスにするほど空の青色は薄くなるので好みで調整します。
また紅葉の赤色や黄色は露出補正1/3段の違いで色が出たり薄くなったりするので、明るさを変えて撮影しておくのがおすすめです。
(撮影後に画像編集ソフトで明るさ修正をする方法もあります)
■日が当たらない場所では露出補正を「-」に
一方日が当たらない場所では、カメラが暗いと判断して必要以上に明るく写してしまいます。
この場合は露出補正をマイナスにする必要があります。
紅葉の撮影では天候や周囲の明るさの影響を受けるので、露出補正を積極的に使って撮影します。
落ちているもみじも綺麗
落ちている綺麗なもみじをセッティングして撮影するのもおすすめです。
紅葉撮影をした体験談
<32歳・女性>
落ちている綺麗なもみじを並べて撮ったり、望遠レンズでもみじに合わせて背景のぼかしたり、オシャレな紅葉写真を撮るのが好きです。ピークの時期は紅葉と同時に混雑した人も入ってしまうので、午前中など早い時間帯から撮りに行くようにしています。
<62歳・男性>
毎年紅葉には一眼レフと望遠レンズを持って行っていました。今年からはミラーレス一眼に買い替えたので、持ち運びが楽になりました。鞄にもコンパクトに収まるので助かります。小さいカメラですがとても綺麗に写りますね。秋の寺社仏閣巡りで美しい写真をたくさん撮ることができました。
まとめ
- 基本は絞り優先モード
- 風景用設定を使う
- 広角や望遠で様々な風景を撮ろう
- 露出補正で明るさを調整する
- 逆光はもみじが綺麗に撮れる