一眼レフ・ミラーレス一眼のマウントとは、レンズの取り付け土台(または規格)のことを言います。
メーカー名とはまた違いますし、一眼レフ初心者にはわかりにくい用語ではないでしょうか。
マウント選びと使えるレンズはセットになっているので、一眼レフ購入の際には重要なポイントになってきます。
このページではマウントについての解説と、どんな種類があるのか一覧でまとめています。
マウントはどんな種類がある?
主要メーカーのマウントはこのような種類があります。
※非公開のメーカーは推定
■キヤノン
■ニコン
■ソニー
■ペンタックス
■オリンパス
■パナソニック
■富士フィルム
これらのマウントごとにレンズが発売されていて、購入したカメラ(マウント)に合ったレンズを揃えていくことになります。
マウントでカメラ人生が決まる
カメラ人生が決まるとは少し大げさな表現かもしれません。
しかし1台のカメラでレンズを何本も揃えていくと、途中で他のメーカーに移行したくても(基本的には)揃えたレンズ資産は使えなくなるため、移行がしにくくなります。
では一眼レフユーザーは初めて一眼レフを購入する時、
「多数のマウントの種類やレンズ群を把握してから選んで購入しているの?」
と思うかもしれませんが、そこまで考える人はあまりいないと思います。
まだ撮りたい写真が決まってないですから、欲しいレンズの種類も決まらないですからね。
実際には、多くの人は「このカメラかっこいいな」とか「なんか使いやすいな」とか直感で気に入った1台を購入し、あとは合うレンズの中から惰性的にレンズを購入していくのだと思います(笑)
余談ですが、ある一つのメーカーでたくさんのレンズを揃えた人を、”ニコン党” とか ”キヤノン党” という風に呼んだりします。
それだけ一つのメーカーを長く使う人が多いということです。
他マウントへの移行ができないわけではありませんが、レンズを揃えるほど移行がしにくくなるので、一眼レフの購入前はレンズ群も含めて一通り見ておくことをおすすめします。
あとは売れ筋の機種を選んでおくと大きな失敗はないと思います。
今はレンズが豊富なマウントが多い
数年前までは歴史が長いキヤノン EFマウント、ニコン Fマウントはレンズが豊富でマウント選びに有利でした。
今は比較的最近に登場したマイクロフォーサーズでもレンズが揃っていますし、ソニーの主力であるEマウントレンズも増えてきました。
昔よりマウント選びはしやすくなっていると思います。
ただ最も新しく登場したキヤノンのミラーレス一眼のマウントであるEF-Mマウントはまだ本数が少ない状態です。(マウントアダプターを装着すればEFレンズも使用できます)
始めの1台を購入するなら、なるべくレンズは豊富なマウントの方が良いと思います。
使いたいレンズは人それぞれ異なりますが、広角・標準・望遠、そしてマクロなど、どの種類でも複数のレンズがラインナップされているのがベストです。
種類が多いほど価格帯も豊富なので予算に合うレンズが見つかりますし、様々な焦点距離の中から使いたい焦点距離のレンズも見つけやすくなります。
マイクロフォーサーズか、APS-Cか、フルサイズか
マウント選びは同時にイメージセンサー選びでもあります。
主なイメージセンサーの種類はこのようになります。
センサーが大きいほど画質面では有利ですが、フルサイズはボディもレンズも高価になりますし重量も増していきます。
センサーは年々進化していて、マイクロフォーサーズでも初心者には十分なほど綺麗に写ります。
あとはどこまで画質を求めるか、持ち運びの負担を考えるかなどによって最適なセンサーは変わります。
作品づくりとして撮影したいならフルサイズ機、小型軽量を求めるならマイクロフォーサーズ、またはソニー・キヤノンのミラーレス一眼になると思います。
その中間に位置するのがAPS-Cの一眼レフで、その中でも軽量化した機種やフルサイズに近い高性能機種まであります。
一度購入してからセンサーを移行する場合、やはりそれまでのレンズは使えなくなるのでセンサー選びも重要になってきます。
フルサイズ機にAPS-C用レンズは使える?
センサーを移行する場合、手持ちのレンズは使えなくなると書きましたが、APS-C機から同じメーカーのフルサイズ機に乗り換える場合はキヤノンを除き、条件付きですが使用できます。
まず結論をまとめるとこのようになります。
- キヤノンのフルサイズ機はAPS-C専用レンズ(EF-Sレンズ)は装着不可
- ニコン・ソニー・ペンタックスのフルサイズ機はAPS-C専用レンズが装着可
キヤノンの場合、EF-Sレンズは装着時にボディ内に入る後端部分が長いため、フルサイズ機だとミラーに接触して取り付けができないようになっています。
ニコン・ソニー・ペンタックスの場合はAPS-C専用レンズをフルサイズ機に装着できます。
ニコン・ソニー・ペンタックスなら撮影できるのですが、ただ条件があります。
APS-C専用レンズは取り込む光の範囲(イメージサークル)がフルサイズセンサーより小さいため、そのまま画像データにすると左右が真っ暗になります。
その対策としてフルサイズ機ではクロップ機能を備えていて、自動で暗い部分をカットして写真データにしてくれます。
これで問題解決のように思えますが、クロップ機能は画像を大きく切り取るので画素数が低下するというデメリットがあります。
例えばニコンD750やソニーα7IIのような約2400万画素のカメラでクロップ機能を使うと約1000万画素まで下がることになります。
またボケ量や焦点距離もAPS-C機と同様になってしまいます。
デメリットはありますが、貴重なレンズ資産は一応この方法で活用できることができます。
1000万画素だと画質が悪いということはありません。パソコン上で2400万画素と1000万画素の写真を見比べても区別はつかず同じ画質になっています。画素数はどれだけ画像の引き伸ばしができるか、またはトリミングしても余裕があるかという数値になります。
ニコンのフルサイズ機はAPS-C専用レンズをつけるとファインダー内の左右が暗く見えます。ソニー・ペンタックスのフルサイズ機は暗い部分をカットしているファインダー像が見えます。
このようにAPS-C機からフルサイズ機への乗り換えはいろいろと問題があるので、将来的にフルサイズを視野に入れている人は、APS-C機でもフルサイズ用レンズを購入することをおすすめします。
どうしてもレンズ資産を活かしたいならマウントアダプター
マウントアダプターは異なるマウントや他メーカーのレンズであっても装着できる便利なアイテムです。
例えばこのような活用例があります。
EF-Mマウントのレンズは種類が少ないですが、マウントアダプターをつけることで豊富なEF・EF-Sレンズを使うことができます。
・ソニーEマウントにAマウントレンズをつける
ソニーのEマウントに現行のAマウントレンズや昔のコニカミノルタレンズをつけることができます。
・ソニーEマウントにニコンFマウントレンズをつける
ソニーのEマウントにニコンFマウントレンズをつけることができます。ニコンからソニーへの乗り換えの際にニコンレンズを使用できるので、段階的に移行することができます。
・マイクロフォーサーズ機にニコンFレンズをつける
マイクロフォーサーズもキヤノンやニコン、ペンタックスなど様々なレンズを使うことができます。
他メーカーのレンズを取り付けできる種類は、フランジバック(イメージセンサーからボディマウント面)の長さが短いカメラほど可能になります。
内部にミラーのないミラーレスは有利で、特にソニーEマウントは多くのメーカーのレンズをアダプターで装着することができます。対応のアダプターの種類も豊富です。
一方フランジバックの長いニコンFマウントなどはオールドレンズの一部しか取り付けができず、あまりマウントアダプターで他のレンズを使うことができません。
マウントアダプターの使用には注意点がいくつかあります。
- サードパーティ製のマウントアダプターの多くは電子接点がないのでAFは使えずMFになります。絞りは固定開放になり、画像データにも絞り値などは記録されません。
(AF対応マウントアダプターはソニーEマウント用などで販売されています) - サードパーティ製は接続がキツ過ぎたりマウント部に傷がつくケースもあるので、使用は自己責任となります。
- 純正品のマウントアダプターであってもレンズによってオートフォーカス(AF)が遅くなることがあります。
- マウントアダプター自体に重さがあり、組み合わせにより厚みもあるのでレンズが長くなることになります。
このように様々な注意点はありますが、レンズ資産を活用できる唯一の方法になります。
マウントを変更してからも以前のレンズを活用したい場合はマウントアダプターも検討してみてください。
一眼レフ購入前にレンズ群も確認しよう
マウントの説明は少し複雑で難しいのですが、初めて一眼レフを購入する場合は将来のことも考えてじっくり1台を選ぶことをおすすめします。
もちろん気に入った1台があればそれで良いと思いますが、どんなレンズが揃っているのか、予算範囲の価格帯レンズは揃っているかなども検討しておくのが大切です。
まとめ
- 一度マウントを決めると変更しにくい
- フルサイズに興味があるならレンズもフルサイズ用を
- マウントアダプターを活用する方法も有り